■本田宗一郎の意志が根付くデザイン

新型NSXのデザイン開発は、不況と天災の逆風が吹きすさむなか、日本発の企画として立ち上がりました。当初デザイナーは、NSXオーナーズミーティング等に参加してオーナーの声を聴き、「NSXを未来につなげてほしい」という熱い熱意を強く感じたそうです。

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デザイン陣は、新型NSXに「環境を考えながら走りを両立する」という二律背反のテーマを設定。この難題に取り組むデザイン陣を支えたのは「もし今の時代に本田宗一郎が生きていたらどう考えたのか?」というイメージでした。新型NSXは、性能だけで認められるべきではなく人間が中心の存在であると定め、「人間中心の高性能」をデザイン目標に掲げたのです。

■日本で産まれアメリカで磨いたデザイン

デザイン開発では、最初に日本で各国デザイナーを交えたコンペを実施。そして、キャビンフォワードのシルエットに前後のフェンダーが交差して重なりあうキースケッチを作成するとともに、プロトタイプでは高性能メカを複数の表皮が包むワイド&ローの造型を生み出しました。

ただ2012年と2013年のデトロイトショーモデルでは、完成度の高いシルエットと個性派マスクを備えながらも、線の細さが残りダイナミックな力感が不足気味。そこで更なる高みを目指して、アメリカホンダが中心となって量販モデルのデザインを磨き込んでいったのです。

■冷却との闘いを制した空力デザイン

量販デザインの迫力アップに加えて、スポーツハイブリットSH-AWDのモーターやバッテリーの冷却も重要な課題でした。特にサーキット走行をこなすには、冷却機能の強化は不可欠。ただクルマの冷却機能は、スタイルや空力性能に大きく影響するのが難しいところです。

そこで市販モデルではサイドインテークを切り口鋭く大口径化して、迫力スタイルと冷却機能を両立しました。ただこれでもバッテリーが冷却不足に陥るため、なんと室内用エアコンから冷風を引き込んで対策しました。

新型NSXは、冷却との闘いを制し、空力とスタイルのベストバランスから産まれたデザインなのです。

■第542弾 新型NSXのすべて (電子版はこちら

(星崎 俊浩)

新型NSXの空力デザインは、冷却との闘いを制した成果だ!(http://clicccar.com/2016/10/31/410122/)