Q:去年の職場の健診では異常なしでしたが、今年の健診で左の肺に影があると指摘されました。専門医で検査したところ肺がんで、進行しており手術はできず、「このまま何もしないと半年の命で、抗がん剤をして上手くいけば2年もつ」と言われました。
 抗がん剤治療を受けるかどうか、早急に決めなければならないとのこと。自覚症状もなくピンピンしているのに、半年の命なんて信じられません。パニック状態です。アドバイスをお願い致します。
(65歳・印刷会社嘱託)

 A:晴天の霹靂でさぞ驚かれ、困惑されていると思います。よく考えて、1カ月以内に当面の方針を決める必要があります。多くの人は医師の勧め通り抗がん剤治療を受け、辛い入退院を繰り返されます。
 しかし、たとえばカナダなどの先進国では、何もしない選択肢も医師から示され、そうされるがんの患者さんも相当数おられると聞きます。その場合も、医師を含めた医療緩和チームがきっちり経過観察をし、フォローしていく体制ができていると思われます。
 一方、日本では、抗がん剤治療を望まない場合、医師にホスピスを勧められることが多いでしょう。

●よりよい最期のための選択
 しかし、がん治療の基幹病院では、治療するなら専門医、しないなら緩和ケアの専門医と分業となっている場合が多いのです。誰もが、緩和ケアへいきなり行くのは抵抗があるでしょう。
 以前、進行肺がんで、治療をしない選択をした患者さんがいました。在宅酸素療法を行い、私が週1回、診察に行っていました。いよいよ身体がしんどくなって本人がホスピスへの入院を希望し、入院後、数週間で亡くなりました。
 自分の人生の最期をご自身でプロデュースし、妻と自宅で多くの時間を過ごされた、まさに人生の達人でした。
 抗がん剤治療を受けると、平安な時が持てない場合が少なくありません。ご質問の方も、人生の最期をどう過ごすか、後悔のないよう選択されることを祈念いたします。
 なお、現代医学以外の療法もいろいろあります。そういう方法を選択するのも、人それぞれの生き方によります。

牧典彦氏(小山病院院長)
自律神経免疫療法(刺絡)や加圧トレーニング、温熱療法、オゾン療法など保険診療の枠に捕われずベストな治療を実践。小山病院(大阪市東住吉区)院長。