カルビー お客様相談室長 大内 肇氏●1990年入社。近畿支店営業・物流マネジャーの後、99年中四国支店長、2005年九州カンパニーCOO、07年本社 SCMグループなどを経て現職。

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■「食感が悪い」2件の問い合わせで回収検討へ

2015年3月、カルビーは人気商品「じゃがりこ」の一部に食感の悪いものがあるとして14万個の自主回収に踏み切った。一般的に食品の回収は、体に危害がおよぶ事態や、法律上の不備がある場合などだが、食感を理由にした回収は前代未聞だ。この対応について、同社お客様相談室の大内肇室長はこう語る。

「2月後半に2件のお問い合わせがあり、調査を開始し、回収を発表したのは3月17日です。最終的にご指摘は全部で6件でした。弊社の対応としては時間がかかってしまったほうで申し訳なく思っております」

クレーム発生から1カ月足らずで決断。ネット上でも同社の対応に称賛の嵐だが、大内氏は「不具合が出た商品を出荷前に止めることができず、とても恥ずかしい話です。ご迷惑をかけ深くお詫びします」という。このような同社の素早い対応と真摯で謙虚な姿勢によって、苦情を訴えた顧客のおよそ95%が、同社の商品を再購入すると答える好結果につながっているのは間違いない。

カルビーには年間1万件弱のクレームが寄せられる。電話によるものが75%と圧倒的に多い。電話は、まずお客様相談室が受け、問題点と状況を聞く。それを15分以内に詳細なカルテにまとめる。これを、電話してきた顧客が住む地域の相談室スタッフが確認し、直ちに連絡。そこできちんと説明するか、自宅へ伺うかを判断し、訪問となれば、受電から2時間以内に駆けつけることをルール化している。制限時間を設けたのは、こうした場合に、人が待つことのできる時間の限界を考慮したからだと大内氏は説明する。

「電話対応は最初が肝心で、まず心からお詫びします。そして、お客様の気持ちに寄り添うことが大切です。つまり『この人が本当に訴えたいことは何だろう?』と考えることです。怒っているのか、体への害を心配しているのか……。お客様の真意を知ろうとする姿勢が最初に伝われば、後の対応もスムーズになると考えています」

■逐一電話で状況報告不安が信頼に変わる

顧客が不具合を感じた商品は回収されて、工場の品質管理部門に届けられ、入念にチェック。必要があれば、外部検査機関に回すこともある。

その後、工場、地域相談室、本社がクレーム情報を共有しての顧客へのきめ細やかな情報提供がスタートする。具体的には「商品が工場に着きました」「くわしい検査が必要なので、ご回答を差し上げるまでに10日ほどかかります」という経過報告だ。「報告書は、工場の品質管理者が調査結果を書き、地域スタッフが仕上げます。お孫さんとお召し上がりだったお客様には『せっかくの楽しいひとときを台なしにしてしまい申し訳ありません』の一文を加え、少しでもお客様の気持ちに寄り添えるよう、努力しています」。

このような誠意ある対応に顧客も納得して固定ファンになるのだ。

【これが本当のクレーム対応だ!】

●お客様相談室で電話を受ける
    ↓
●15分以内に状況、問題をカルテにまとめる
    ↓
●地域の相談室スタッフに連絡、お客様に電話
    ↓
●訪問の場合は2時間以内に駆けつける
    ↓
●商品を回収、工場で原因解明へ
    ↓
●電話(経過、報告までの日数など伝える)
    ↓
●調査報告書を送付
    ↓
●電話(調査報告書の説明)
    ↓
●お客様からアンケート返却⇒⇒95%が「また購入する」
    ↓
●ご質問等があったお客様には電話でアフターフォロー

※お客様対応の一例です

(岡村繁雄=文 奥谷 宏=撮影)