2016/17シーズンのV・プレミアリーグ女子が、男子に続いて開幕した。今シーズンの女子で注目されるのが、東京五輪世代のホープとして大きな期待がかかる古賀紗理那選手(NECレッドロケッツ)。練習で熱のこもるNECの体育館を訪ね、Vリーグに向けての意気込み、そして、惜しくも出場が叶わなかったリオ五輪についても聞いた。

――開幕が迫ってきましたが、チームの調子はいかがですか?

「チーム力もだんだん上がってきていますし、いい雰囲気で練習ができているので、この流れを、しっかり開幕戦に持っていけるようにしたいです。私個人の調子は、普通ですね。リーグに向けて、守備も攻撃も"全部"に力を入れて取り組んでいます。ことさら何かをというよりは、すべての平均点を上げていかないと」

――チームの中でどんな役割を求められていますか?

「(役割は)点数を取ることもそうですし、守備で泥臭くボールを追ったりすることが、やっぱりチームの流れを変えると思うので、その辺りもしっかりやりたいです。

 監督からは『チームが苦しいときに一生懸命点を取りに行く姿が、すごくチームの流れを変えるんだ』といつも言われています」

――そこで古賀選手の力が必要ということですね。チームとしての課題はありますか?

「これも、すべてのプレーにおいて、質を上げていかなきゃならないですが、オフェンスが課題とずっと言われているので、一人ひとりの得点力を上げることが大切です」

 NECは9月に行なわれたアジアクラブ選手権に参加して、見事優勝を果たし、古賀はMVP を獲得したが、そのときの気持ちを尋ねても、古賀の返答は素っ気なかった。というのも、本人としてはMVPにふさわしいような活躍をした実感がなかったからだ。ただ、チームとしてはこの優勝が、リーグに向けて自信にはなったという。

 話題は全日本のほうへ移る。昨秋のワールドカップでの活躍は鮮烈な印象を残し、オリンピック世界最終予選のメンバーにも選ばれていた。しかし、リオ五輪のメンバーからは最後の最後、選から漏れてしまった。

――オリンピックのメンバーから外れたことについて、当時、どのように思いましたか。

「これが実力だろうなという感じです」

――外からはそのようには思わなかったのですが......。本人としては五輪出場に何かが欠けていたという実感があったのでしょうか。

「はい。どこがといわれたら、全部です。守備も攻撃もサーブも。OQT(オリンピック世界最終予選)は、自分の実力が出し切れなかったという反省はあります」

 リオ五輪の試合はテレビでちょくちょく見ていたそうだ。特に「自分がいたら」といった見方ではなく、全日本女子チームを素直に応援していたという。しかし、その全日本は初戦の韓国に敗れて流れに乗れず、準々決勝でアメリカに敗れて大会を終えた。

――直前まで一緒に戦っていたチームメートを見て、悔しさはなかったですか?

「あのメンバーは本当に頑張っていたと思うので、悔しいという気持ちもなかった。刺激は受けました。特に誰の頑張りがすごかったというのではなく、みんなが頑張っているなという感じで」

 アメリカ戦の終了後、木村沙織主将は、「紗理那をよろしく」とセッターの宮下遥に頼んだと報道された。それを聞いて、「頑張らないといけないな」と強く思ったという。古賀にとって、五輪はどんな大会かと質問すると、「行ったことがないから、わからないです」と、少しうつむいて答えた。

――次は4年後に東京五輪です。どんなイメージですか?

「まずはリーグをしっかり戦うことが目標なので、まだそこまで考えていません。リーグで結果を出してからだと思います。東京五輪までに克服していかないといけないのも、全部。守備も、攻撃も、サーブも、精神面を含めて本当に全部」

 今春、古賀の地元である熊本に大地震が起こった。直後は全日本合宿や試合が続いて、地元に戻る時間がなかったが、夏に帰郷し、被害を目の当たりにした。「こんなにも......」と心を痛めた。しかし、後輩たちの頑張る姿を見て、逆に勇気をもらった。高校時代の恩師にも「頑張れよ」と励まされた。話は再び、リーグのことに。

――先日、NECでファン感謝祭をやられたそうですが、いかがでしたか。

「たくさんの方が来てくださって、こういう人に支えられてバレーができているんだなと思いましたし、応援してくれるからこそ、自分たちもしっかり頑張らなければならないなと思いました」

――NECを紹介するならどんなチーム?

「個人の能力だけでなく、すごくチームワークがいいし、チーム力で勝負していくチームです」

――昨シーズンのリベンジをするために話し合っていることはありますか?

「去年は1点とか1セットに泣いたシーズンだったので、今季はしっかり勝ちきることが大事だねって話し合っています」

 2015年の春、高校卒業前に内定選手として、リーグ終盤戦からチームに合流し、優勝に貢献。このときは、ただがむしゃらにやっていたら結果がついてきた。昨シーズン、社会人1年目はVリーグの難しさを味わった。入社2年目の今季は「優勝」しかないと力を込める。

――Vリーグのおもしろいところは? Vリーグはどんなリーグだと思いますか。

「国内リーグは日本人を中心につなぎがすごく上手ですし、なかなかボールが落ちない中で、どう点数を取っていくかが大事。バレーボールは流れのスポーツなので、ちょっとしたミスで、すぐ相手に流れがいってしまったりする。そういう状況判断も大切にしていきたいです」

――入社して1年半が経ちますが、社会人生活を楽しんでいますか? 

「はい。ただ、買い物は基本川崎で、ラゾーナですね(笑)。外出は好きではなく、家にいることが多いです。家ではテレビを見たり、本を読んだりしています。最近読んだのは小説とかですかね。テレビはドラマも見ますし、バラエティも見ます」

――最後にファンに向けて、メッセージをお願いします。

「応援は、私たちの頑張りの源にもなりますし、会場に来ていただけると嬉しいです。試合中でも声は聞こえていますし、大きな力をもらえます。ぜひとも会場へお越しいただき、ご声援をよろしくお願いいたします」

NECの山田晃豊監督も目を細めて、古賀の今季の活躍に太鼓判を押した。

「日本のバレーの核になってもらいたいと思っていますので、そういう意識や覚悟を身につけて成長していってもらいたい。僕から全日本の話は特にはしないですが、今後日本のバレーの中心となるのはあなただよ、という話はします。

 彼女は攻守の軸になるポジション。ひと回り成長した古賀を皆さんにお見せできるようにしたい。今本当に頑張っていますから」

 リーグの看板選手である木村沙織(東レアローズ)が今シーズンでの引退を表明している。後継者候補の一番手に挙がるのが彼女、古賀紗理那だ。しっかりバトンを受け取ることができるのか、リーグ戦での活躍を注視していきたい。

中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari