中高年が運動で陥りやすいのが、ジョギング中の捻挫だという。捻挫は足首が大きくねじれて関節の可動域を超えることで発症する。関節が限界以上に動くことでじん帯が損傷し、痛みと機能障害が発生するのだ。中高年者がひとたび重度の捻挫を起こすと、関節に緩みが残ったり、逆に可動域が狭くなることもあって、機能障害が残りやすくなるという。
 関節症などに詳しい医療ジャーナリストは、こう説明する。
 「日本人はO脚が多いことから、ジョギングで足の外側の筋力に負担がかかり、膝の外側の腸脛靭帯炎になりやすい。ジョギングする中高年は変形性膝関節症にも注意が必要です。膝関節の軟骨がすり減ることで発症する疾患で、初期は数日ジョギングを休むだけで痛みは解消しますが、無理して続けると日常歩行にまで影響するケースもあります」

 さらに水泳。中高年と言えば、不整脈などによる突然死ばかりが話題になるが、肩を故障することも少なくない。
 前出の新井氏はこう言う。
 「プールでの歩行は腰痛に効く、と人気は高いようですが、クロールやバタフライなどをして肩関節を痛める人がいます。原因は、若い頃に比べ身体のローリングや肩甲骨の動きが低下することで大きなフォームができなくなっているのに、勘違いして無理をすることで、肩関節内の組織を痛めてしまうのです」

 また今、人気が高いサイクリングにもリスクがある。前かがみになりながら、首だけを持ち上げて反り返る姿勢を長時間保つため、頚椎を痛めやすいのだ。
 「首には七つの骨と、その間にクッションの役割をする椎間板がある。それが何かのはずみで飛び出すのが頚椎椎間板ヘルニアで、手や肩に激しい痛みやしびれが出ます」(同)

 こうした運動によるトラブルとは別に、実は意外なデータを示す専門家もいる。健康に関心のない人より、健康に常に気を使っている人の方が検査数値が悪かったというものだ。これについては、フィンランド労働衛生研究所が調査した結果を、国際医療福祉大大学院の和田秀樹教授が『“現役年齢”をのばす技術』(PHP新書)に著している。
 1200人の被験者を600人ずつ、砂糖や塩分を控え煙草やアルコールを制限したグループと、特別な指示がなく気ままな生活したグループの二つに分け、15年後に健康調査した。結果、後者の方が検査数値が軒並みよかったという。早い話が“健康オタク”の方が早死にする傾向があるというデータだった。

 いずれにせよ、50歳を過ぎてスポーツを始めようと思ったら、無理せず、やりすぎずだ。