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ドナルド・トランプ氏は自身が大統領になった際には不法移民の侵入を防ぐ目的でメキシコとアメリカとの国境に壁を建設すると主張し、対してヒラリー・クリントン氏は橋をかけると主張しています。そんな中、「テクノロジーの進化によって、国境は『境界の象徴』にすぎなくなっています」「国境はもはや過去のもの」という考えを抱いているメキシコ人建築家であるフェルナンド・ロメロ氏は、アメリカとメキシコの国境に関して、新たな未来都市の構想を描いています。

Fernando Romero Designs a Binational Border City - CityLab

http://www.citylab.com/design/2016/09/instead-of-a-wall-build-a-binational-city-us-mexico-border-trump/499634/

これがロメロ氏の思い描く未来都市の完成図。真ん中にあるハブを中心に放射線状に都市が広がり、線と線の交差点に経済特区のようなものがあります。



上空から見た様子。真ん中に走るオレンジ色のラインが国境です。



この未来都市の構想は、都市の歴史からコンセプトを得たとのこと。アメリカとメキシコの国境付近は、香港やアンドラのように、2つの文化がぶつかり合い混ざりあうことで別のユニークな雰囲気を生み出しています。

「国境都市」とも呼べるこの街には、アメリカのニューメキシコ州・テキサス州から、メキシコのチワワ州にかけての一帯が含まれます。ちょうど、現在のアメリカにあるエル・パソ州と隣接するメキシコのシウダー・フアレス州のような感じで、経済的には共通する部分がありながら、通貨が異なることによる制限や、移動、労働などの制限が存在しません。

多極化している国境都市には、いくつもの経済特区が存在し、街の中では人・物・サービスが自由に行き来することが可能。国境の通関手続きゲートはアメリカ・ニューメキシコ州のサンタテレサにありますが、国境都市の中心はサンタテレサに据えられており、アメリカを横断する州間高速道路10号線が国境都市の中心部と、アメリカの西海岸・東海岸をつなげています。また、道路や線路は国境都市の各経済特区と重要な産業地を結んでいます。

この国境都市は単なるコンセプトに留まりません。ロメロ氏は今後数十年のうちに自身の私有地にこのような国境都市を建てる予定とのこと。グローバル戦略家のパラグ・カンナ氏は境界線を越えて密接につながった中心市街地が、これからのグローバルな舞台において大きな力を持つだろうと予想しており、この視点で言うと、ロメロ氏のビジョンは未来都市として理にかなったものだと言えます。

以下が都市の構造の詳細。赤いラインで表されているのが国境で、国境北側にあるがサンタテレサと、南側にあるサン・ジェロニモ、サン・ノゼという3つの経済都市が青いラインでつながっていることがわかります。青いラインは車道を示しており、それぞれの都市・コミュニティは道路でつながっているというわけです。



また、内陸港のサンタ・テレサは国境都市と外部の世界とをつなげ、需要と供給の連鎖を作り出します。



電車の線路はクモの巣状に広がっている模様。



幾何学模様のように広がる都市にはいくつかの経済特区が存在します。以下のマップの色は人口密度を示しており、経済特区周辺には人が密集していることがわかります。



車道はこんな感じ。



バスは以下のような路線を走ります。



自転車用道路はさらに細かい網目状に広がっています。



また自動車・自転車・バスなどでの動きやすさはもちろんのこと、徒歩での移動にも適したデザインになっているとのことです。