西野カナ初の結婚式ソング「Dear Bride」は、残念だった

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 分かりやすい歌詞をクリアな発音で歌うのは西野カナの長所ですが、行き過ぎると仇(あだ)となる。新曲「Dear Bride」(10月26日発売)では、ちょっともたつく部分が気になります。

◆歌詞が多すぎて西野カナのボーカルが活きない

 それはメロディに対して多すぎる単語。歌い出しを見てみましょう。

<今日から君が歩いてく 新しい未来への道 たくさんの愛に包まれて>

 結婚する友人に向けてエールを送るという設定だそうですが、やはり過剰なのです。

 古い「未来」などないのですから「新しい」は削れますし、包まれるほどの「愛」ならば「たくさん」とか大きいことが前提なので、ここでも意味の上で繰り返しとなってしまっている。

⇒【YouTube】はコチラ 西野カナ 『Dear Bride』MV(Short Ver.) http://youtu.be/sJL6WA-aGkQ

 本来は不要な言葉があるために音の響きが詰まる。するとメロディが角張って、曲が渋滞を起こしているような印象を与えてしまうのですね。これでは伸びやかな西野カナのボーカルも十分に活かせません。

「A型のうた」や「トリセツ」でも感じたところですが、シングル曲では企画性が重視されるあまり、メロディと詞の調和がないがしろにされているきらいがあるのではないでしょうか。

◆「君が好き」の余白にハッとする

 もちろん、“また西野カナがこんなこと歌ってるよ”と話題に上ることも大事でしょう。曲の良さだけではヒットしない世知辛いご時世ならなおさら。加えて彼女のファンが好むワードを多く盛り込みながら、明瞭な意味をキープするのは至難の業。

 でも、一昨年の大ヒット「Darling」やCMで流れる「君が好き」などを聴いていると、もったいないなぁと思ってしまうのです。特に「君が好き」には、流れるたびにハッとさせられます。使い古されたコード進行のアコースティックバラードなのに、息継ぎの艶っぽいこと。

 説明らしい説明のない歌詞にあって、この言葉が途切れる瞬間こそが意味になっているのですね。

⇒【YouTube】はコチラ 西野カナ 『Darling』MV(Short Ver.) http://youtu.be/sawxwunW7G0

●「君が好き」(レコチョク サンプルあり)
http://recochoku.jp/song/S1003334671/
 歌をうたったり、曲を作ったりの話になると、どうしても手が加わった部分に目が行きがちですが、西野カナは引くことのできる人なのだと思います。

 たまにはファンサービスの曲はお休みして、聴く人を突き放すあやふやな詞を書いてみてはいかがでしょう? 

<TEXT/音楽批評・石黒隆之>