最低賃金が改定され、上昇幅は平成14年以降で最大になった。この状況に企業の多くが肯定的たが、消費回復には否定的な意見が目立った。

 10月1日から20日にかけて、改定された最低賃金が発効された。最低賃金は国が定めた賃金の最低限度のことで、雇用者はその最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければならないとされている。

 厚生労働省によると、改定後の最低賃金の全国平均は823円で、昨年度より25円上昇した。この上昇幅は、最低賃金が時給のみで示されるようになった平成14年度以降で、最大の引き上げ幅になる。最低賃金が最も高かったのは東京都の932円で、神奈川県の930円、大阪府の883円がこれに続いた。最も低かったのは宮崎県と沖縄県の714円で、鳥取県、高知県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県などの715円が続いた。最低賃金には地域差があるものの、全都道府県で同程度上昇した。

 そこで帝国データバンクは、最低賃金改定に関する企業の意識調査結果を実施し、その結果を10月17日に発表した。調査は9月15日から30日にかけて実施され、全国の企業1万292社から有効回答を得た。

 まず、最低賃金の改定を受けて給与体系の見直し状況を聞いたところ、「見直した/検討している」企業は35.0%となり、非正社員を多く抱える「小売」(48.9%)や「運輸・倉庫」(43.4%)、「製造」(41.0%)などの業界で高かった。「見直していない/検討していない」企業は49.1%、「分からない」は15.9%だった。

 続いて、従業員を実際に採用するときの最も低い時給を聞いたところ、全国平均は約958円で、改定後の最低賃金の全体平均を135円上回った。改定された最低賃金と採用時の平均時給の差額が最も大きかったのは東京都の165円(採用時最低時給約1,097円)。以下、島根県の162円(同880円)、沖縄県の161円(同875円)、鹿児島県の159円(同874円)が続き、西日本を中心に最低賃金と採用時の最低時給の差額が大きくなる傾向があった。

 今回の最低賃金の引き上げ額について、企業がどのように感じているかを聞いたところ、「妥当」が40.5%に達し、「高い」(11.6%)と「低い」(18.1%)を大きく上回った。自社の業績に対する影響では、「影響はない」が57.9%となり、「マイナスの影響がある」の21.7%を上回った。一方、最低賃金引き上げが消費回復につながるのか聞いたところ、消費回復の「効果がある」は10.2%にとどまり、「効果がない」が53.7%に達した。

 最低賃金の改定状況について、企業の多くは肯定的に捉えているものの、一方で消費回復にはつながらないと考えているようだ。

サイトウ イサム[著]、加藤 秀行[著]