色々な高校へ見学に行った
ことを明かした細田守監督

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 細田守監督が筒井康隆氏の名作小説を劇場アニメ化した「時をかける少女(2006)」が10月29日、第29回東京国際映画祭内の特集企画「映画監督 細田守の世界」で上映され、細田監督とアニメ特撮研究家の氷川竜介氏がTOHOシネマズ六本木ヒルズでのトークイベントに出席した。

 これまで何度もテレビドラマや映画で映像化されてきた筒井氏の同名小説を初めてアニメ化した本作は、タイムリープする力を手に入れた女子高生・真琴が、過去を変えてしまったために起こす騒動を描く。

 質疑応答の場面で、客席の女子高生から「今時の高校生を描くにあたってどういった下調べをしたのでしょうか?」と問われた細田監督は、「すごくたくさんの高校に見学に行きました。とにかくいろんな種類の高校生を見たかった。そこで、放課後に残って部活や勉強をしている子たちに話しかけた。今の高校生ってどんな風なんだろう、自分とどう違うんだろうか、もしくは自分たちが高校の時とどういう風に同じなんだろうって」と振り返る。

 そうしてリサーチを続けた結果、キャラクターのビジュアルにある変化が生じたという。細田監督は、「主人公をどういう格好にするかずっと悩んでいたんです。そんな時に、国分寺高校にポロシャツを着た高校生の女の子がいて、階段の踊り場ですれ違ったんです。その子がすごく可愛らしい子で、ポロシャツがすごく魅力的だなって思って、真琴の制服にした」と告白。さらに、「それまで全然ポロシャツなんて思わなかったんだけど、実際に出会って影響を受けて主人公のビジュアルのイメージが変わっちゃうってことがあると思う。そういう出会いを求めて、いろいろ取材をしたのを思い出しました」と感慨深げに語った。

 細田作品といえば、共通するアイテムなどが存在する点が特徴だが、この日も「本作の6年後に作られた『おおかみこどもの雨と雪』に桃の缶が出てきて、本作にも桃が出てくるが?」という質問があがった。細田監督は「よく出すんですよ。『バケモノの子』にも桃が積んであったりして」と言い、「なんか桃って特別な存在っていうのかな。主人公が若いので、若い人のなかに蓄えられている不思議な力みたいなものが、桃が持っている神秘的な部分と共通して感じるところがあると思うんですね」と説明。だが直後に「でも、本当のところは映画の公開時期に旬を迎えるのが桃っていう。リアルタイム性を。東映出身なので、映画の公開時期っていうのをすごく意識するんですよ、他の監督に比べて(笑)。7月の後半といえば、旬は桃です。8月だったら梨になりますし、9月だったらぶどうになります」と明かし、客席を笑わせた。

 また、本作は国内外の映画祭に出品されたが、細田監督は当時を振り返り「いろんな映画祭で上映されて、話を聞いて『高校生の女の子の実感ということでは、日本以外の観客は実感できないかもしれないが、人生における後悔についての映画だとすると、皆さん面白かったり楽しんだりしてくれたんじゃないか』と知ることができた。海外のお客さんの反応を見て教えられた」と感謝を口にしていた。

 第29回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。