医療費の増加が懸念される中、病床数は減少しているものの医療施設は増加。国民所得に占める医療費の比率も11.20%に上昇した。

 厚生労働省は9月26日、医療施設動態調査(平成28年7月末概数)の結果を発表した。医療施設動態調査は、病院や診療所などの「医療施設」の分布や整備の実態を明らかにし、医療行政の基礎資料を得る目的で実施されている。

 平成28年7月末の医療施設の総数は17万8,745施設で、10年前の平成18年10月1時点より3,801施設増加した。内訳をみると、病院が8,445施設で同498施設減少、一般診療所が10万1,412施設で同2,803施設増加、歯科診療所が6万8,888施設で同1,496施設増加した。一方、病床数の総数は166万5,629で、同12万1,020減少した。内訳は病院の病床数が156万1,540で同6万5,049減少、一般診療所の病床数が10万4,015で同5万5,883減少、歯科診療所の病床数が74で同88減少した。

 病院や診療所の病床数は、基準病床数制度によって制限を受けている。各都道府県が地域で必要とされる「基準病床数」を全国統一の算定式により算定し、既存の病床数が「基準病床数」を超える地域では、病院の開設や増床を許可しないなどとなっている。そのため、病床数は10年前と比較して大きく減少しているが、医療施設そのものは増加傾向にあるようだ。

 国民医療費も増加している。厚生労働省が9月28日に発表した平成26年度の国民医療費の概況によると、平成26年度の国民医療費は前年度比1.9%増の40兆8,071億円、人口1人当たりの国民医療費は前年度比2.0%増の32万1,100円となっている。10年前の平成16年度をみると、当時の国民医療費は32兆1,111億円、国民1人当たりの医療費は25万1,500円。また、国民全体が得る所得の総額「国民所得」に占める医療費の比率は、平成26年度が11.20%で、平成16年度の8.68%から上昇している。

 増加する医療費の抑制を目指して病床数は管理されているものの、医療費の増加傾向は止まらない。家計に占める医療費の割合も年々高まっており、医療費の増加は国の財政だけでなく、家計も圧迫しつつあるようだ。

サイトウ イサム[著]、加藤 秀行[著]