「べっぴんさん」23話。最高の感動回にツッコミ入れる心意気

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連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第4週「四つ葉のクローバー」第23回 10月28日(金)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:安達もじり


「何も見えない未来に一筋の明るい光が見えた瞬間でした」(語り/菅野美穂)

君枝(土村芳)と良子(百田夏菜子)の力を借りて、すみれ(芳根京子)は「別品」(特別な品)を作り出した。
まずは、赤ちゃんのドレス。
エイミー(シャーロット・ケイト・フォックス)とジョン(ドン・ジョンソン)夫妻に喜ばれ、満足した3人は、なつかしの麻屋でシナモン・ティーを飲む。
22回のハーモニカといい、口元アップが好きだな、安達もじり演出。

ジョン夫妻は多額の謝礼をくれて、すみれを驚かせる。
デザイン的に100円札。それが数枚入っている。当時の100円は1万円をゆうに超える価値があったようだ。
それを3人で分ける。具体的にいくらくらいと出さないところが上品。
これで、子供に食べさせることができる、と嬉しいし、なによりも作ることが楽しかったと3人は噛みしめる。

もうひとつの「別品」は明美へのお礼──リボンと四つ葉のクローバーが刺繍された写真入れ。
迷子になって麻屋につれていってもらったことを覚えていたすみれ(思い出した?)
お金ではなく、母を亡くした明美のことを慮った品を手作りしたことによって、ついに強張っていた明美の気持ちが動く! もしこれお金だったらまた怒られたんだろうなあ・・・。

こうして、ついに四つ葉のクローバーが集結した!!!!
麻屋に君枝(土村芳)と良子(百田夏菜子)がやってきて、一緒にものづくりをしようと言う。
明美までやって来た。
主要メンバーが一気に麻屋に。
君枝の義母・琴子(いのしようこ)までが追って来て、止めるのかと思ったら、君枝の強い想いに打たれた、息子(君枝にとっての夫)が帰ってくるまでの期間限定で許してくれた。
戦争に対する想いも語られて、すごくいい話しなのだけれど、
明美が麻屋にやって来たときに、
すみれ「いつからいたんですか」
麻田「全然気配感じなかったわ」
というツッコミ台詞を真面目に話して真面目に撮っているところに注目したい。

言わなきゃ視聴者が小姑ツッコみしてくるだろうし、かといって関西系のノリでやってもせっかく完成されかけた全体のふわっと柔らかい雰囲気がぶち壊しになる。考えに考えた末の台詞だと思う。
芳根京子の真面目さもいいし、あとを引き受ける市村正親の狙わずふつーに言ってる感じは職人技。
赤ちゃんたちを「ゲタゲタ」とあやすところもすてきに優しそうで、「べっぴんさん」のキーマンは市村正親だろう。
麻屋が戦う女の子たちの秘密基地で、麻田は博士みたいな感じもしてくる。

2014年に胃がんを患い出演舞台を降板した市村だが、胃の半分を切除してがんを克服、俳優としてますます活躍を続けている。病との戦い、そして、年齢を経てから子供を授かった経験など数々の体験が、いまの彼の芝居をいっそう深めていることは間違いない。
(木俣冬)