中国での石炭需要の高まりで、北朝鮮産の石炭価格が上昇しているとデイリーNKは14日に報じた。

価格上昇の影響で北朝鮮の貿易会社の間では、対中輸出用の石炭を確保すべく熾烈な競争が行われるなか、炭鉱の幹部たちが、貿易会社の足元を見てリベートを要求し、巨万の富を得ているという。その内実を米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

舞台となっているのは平安南道(ピョンアンナムド)の安州(アンジュ)、徳川(トクチョン)、球場(クジャン)などの炭鉱地帯。質のいい石炭が採れることで有名なこれら炭鉱には、各貿易会社の担当者が押し寄せている。

国際社会の経済制裁で、資金確保のメドが立たない北朝鮮当局は、中国への石炭輸出で苦境を乗り切るため、各炭鉱に対して、石炭は朝鮮労働党39号室傘下の貿易会社に配分するように指示を出した。その煽りで、朝鮮人民軍系や内閣系の貿易会社は、石炭の確保に苦慮しており、物量確保のために熾烈な競争が起きている。

そこに目をつけたのは炭鉱の幹部だ。

貿易会社の担当者に、石炭を回す代わりに「労働者の後方事業(福祉)に使う」との名目で、リベートを要求しているのだ。額は決められていないが、石炭1トンあたり炭鉱の支配人と労働党の秘書に2ドル(約208円)ずつというのが相場だ。

炭鉱の幹部が具体的にどれぐらい儲かっているかは定かではない。ちなみに、10月25日の労働新聞は、順川(スンチョン)地区青年炭鉱企業所の2・8直洞青年炭鉱では、9月に3400トンの増産に成功したと報じた。増産分だけで計算しても1人あたり6800ドル(約70万円)が手に入る計算になる。まさに「濡れ手に粟」だ。

楽して大儲けできる炭鉱幹部のポストをめぐり、熾烈な競争が起きていると平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋が伝えている。炭鉱幹部はほぼほとんどが大金持ちで、中には数十万ドルを手にして、トンジュ(金主、新興富裕層)の仲間入りした者もいるという。

この地域には炭鉱のみならず、採掘される石炭を利用した重工業、軽工業が発展しており、北朝鮮の物流の拠点である順川や平城(ピョンソン)も近く、北朝鮮の中でも豊かな地域であると知られている。