アナログな一面を
のぞかせた細田守監督

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 細田守監督によるオリジナル長編アニメーション「サマーウォーズ」(2009)が10月28日、第29回東京国際映画祭内の特集企画「映画監督 細田守の世界」で上映され、細田監督とアニメ特撮研究家の氷川竜介氏がTOHOシネマズ六本木ヒルズでのトークイベントに出席した。

 細田監督が「時をかける少女」に続き、脚本・奥寺佐渡子、キャラクターデザイン・貞本義行とともに手がけた長編アニメ。数学が得意だが気弱な高校2年生・健二が、憧れの先輩・夏希とその大家族とともに、仮想世界OZからぼっ発した世界的な危機に立ち向かう姿を描く。

 本作はIT機器が随所に登場し、ストーリーにおいても必要不可欠なアイテムとなっている。氷川氏は劇中にiPhoneが出てくることに触れ「細田監督の作品歴を振り返ると、ITというものの先端性っていうこと、特に『サマーウォーズ』はそれに敏感じゃないですか」と指摘。これに対し、細田監督は「その時代の1番新しいものを積極的に取り入れようと。映画って後に残るものだから、あえて時代を感じさせるものを出さない方法もあるんですよ。ちょっと古く見えちゃうんで、その要素って特に今は携帯の機種なんかがそうかもしれない。でもそれを含めて、公開された時代っていうのを引き受けようという気持ちでやっている」と説明した。

 さらに「『時をかける少女』では、ボーダフォンをね。あえて入れるっていうか、積極的にやっているくらい。曖昧にすると、世界観がよくわからないんじゃないかっていうのがあるんですよね。映画って現代のものをやっても時代劇をやっても、結局描いているのは現在だと思う。その時代の気分が反映する。であれば、時代がわかるものを刻印した方が潔いんじゃないかっていう考えもあると思います」と熱弁。また、当時の最先端であったSNSも取り入れていることに話が及ぶと、細田監督は「僕はむしろやっていない方だし、使いこなせていない。今現在ラインアカウントもないんです」とアナログな一面を明かし、場内を驚かせた。

 「『サマーウォーズ』は娯楽色が強い」という話題に話が移行すると、細田監督は「なんといってもタイトルが『サマーウォーズ』なんで、真面目な映画なわけないなと(笑)。皆さん普通のタイトルだと思っているかと思いますが、当時はプロデューサーのみんなにすごく非難されました。『おかしい』『なんじゃそれは』とあちこちで言われたんです」と告白。さらに、タイトルが決定した後にも、ある大物プロデューサーから助言を受けたという。「せっかく『時をかける少女』がヒットしたんだから、『数学の得意な少年』にしたらいいんじゃないかって。ものすごい有名なとあるプロデューサーがね……」と振り返り、「いつも雪駄を履いている人ですね。あの人が言っていました」と笑っていた。

 第29回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。