<移民割当てもすべて拒否してEU統一市場へのアクセスも失うハードブレグジットに向かうかと見えたイギリスで、親EU派がモノ申すチャンスがやってきた>

 ブレグジット(イギリスのEU離脱)と言えばこれまでは、社会から締め出された「持たざる者(have-nots)」が、EUやエリート層に反旗を翻した結果のはずだった。食べていくのがやっとの収入しか得られず、社会保障は削られ、保守的な意見がバカにされる状況に、これ以上黙っていられないという人々の怒りが爆発した結果だと言われてきた。

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 親EUで与党保守党と連立を組む自由民主党は今、逆に「持てる者(haves)」が反乱を起こすことに懸けている。その舞台となるのは、ロンドン南部リッチモンドパークで実施される補欠選挙だ。ヒースロー空港の拡張を承認した英政府の決定に抗議して、保守党議員のザック・ゴールドスミスが辞職したのを受けて行われる。

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 選挙戦の鍵は、ブレグジットに反対した有権者がどのような投票行動を示すかにある。結果次第では、英政府の今後の方針を左右する可能性がある。

リベラルなエリートを狙え

 無所属で出馬するゴールドスミスの主な支持層は、金融や広告関係者、医師など、都市部のリベラルなエリートの寄せ集めだ。ロンドンの高級スーパー「ウェイトローズ」の食材を好み、控えめながら美しいスポーツカーに乗って6月23日の国民投票に向かい、「残留」に票を投じたような人々だ。彼らのうち「離脱」を支持したのは3万3500人で、「残留」は実に7万5000人以上に上った。ただしゴールドスミス自身はブレグジット支持者で、今回は暮らしに直結するヒースロー問題に争点を絞るつもりだ。

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 ゴールドスミスに投票した残留派の票を奪いたい自民党のティム・ファロン党首は26日、リッチモンドパークで議席獲得を狙うと明言した。今度の補欠選挙は、統一市場へのアクセスも捨てる「ハードブレグジット」に傾くテリーザ・メイ首相に「有権者の意思を示す」絶好の機会だと言った。自民党候補が当選すれば、英政府もハード路線を突き進むのは困難になるだろう。

 自民党が勝てば、ブレグジットについてこれまで異論を口にできなかった保守党の穏健派も勢いづくことになると、英マンチェスター大学のロバート・フォード教授(政治学)は言う。そうなれば、取り残されたと感じるのは「持てる者」の方になるかもしれない。

ジョシュ・ロウ