『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』 (C)BridgetJ_Movie https://twitter.com/BridgetJ_Movie 

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…前編「シニカルさを増し鳴り響く“テーマ曲”が切ない」より続く

【映画を聴く】『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』後編
オーバー50!への期待を持たせるラスト

本シリーズのヒロイン、ブリジット・ジョーンズは、日記を書くこととダイエットに夢中な、いかにもインドア派の文系女子という感じだ。スポーツや歌、ダンスといったフィジカルなものとは縁遠い生活をしているように思える。たとえば前編で触れた第1作の冒頭のシーン。どんくさいしぐさでエアピアノ、エアドラムを演奏しながら、口パクで「All By Myself」を歌うシーンを見て「歌、ヘタそう……」と思っていたら、後にマライヤ・キャリーのレパートリー「Without You」(オリジナルはイギリスのバンド、バッドフィンガー)を調子っぱずれに歌って会社の同僚をドン引きさせるくだりが出てくる。また第2作では「プロ級」と豪語し、ショッキングピンクのド派手なウェアでスキー場に現れるも、結果的に別の意味でゲレンデを滑りまくるというイタいシーンが挟まれていたりもした。

しかしブリジットを演じるレニー・ゼルウィガーは、実際は歌もダンスも超得意で、スキーの腕前もかなりのもの。第1作の翌年に公開されたミュージカル映画『シカゴ』ではスリムな体型で軽快に踊り、艶っぽく歌う姿がブリジットを演じた時とあまりに対照的だということで大きな耳目を集めた。ことあるごとに整形疑惑が報道され、「顔、変わりすぎ」と言われたかと思えば今作で「元に戻った!」など、作品以外でいろいろと騒がれるレニーだが、撮影の8ヵ月も前からロンドンで暮らしたり、ブリジットを演じるため13kgも増量したり、実際に出版社で働いてみたりと、そのプロ根性は並大抵ではない。自分の歌とダンスの才能も、『シカゴ』の役に打ち込むことで初めて気づいたそうだ。

この『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズ、47歳というレニーの実年齢からすると、今回が最後のように思えるが、昨年日本でも刊行されたヘレン・フィールディングによる小説版の3作目『ブリジット・ジョーンズの日記 仕事に子育てにてんやわんやの12ヶ月(上・下)』は、51歳のブリジットを描いている。この小説版と今回の映画版はまったくの別物で、ストーリーはリンクしていない。小説版のブリジットは、“最愛の夫”に先立たれた2児のシングルマザーという設定になっている。

ただ、リンクはしていないが、今回の映画版のラストを見ると、こちらはこちらでまだ続きがありそうな気もしてくる。ヘレン・フィールディングは映画版の脚本にも名を連ねているので、映画版でしか描けない“オーバー50”のブリジット・ジョーンズを見せてくれることを今から少し期待している。(文:伊藤隆剛/ライター)

『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』は10月29日より公開。

伊藤 隆剛(いとう りゅうごう)
ライター時々エディター。出版社、広告制作会社を経て、2013年よりフリー。ボブ・ディランの饒舌さ、モータウンの品質安定ぶり、ジョージ・ハリスンの 趣味性、モーズ・アリソンの脱力加減、細野晴臣の来る者を拒まない寛容さ、大瀧詠一の大きな史観、ハーマンズ・ハーミッツの脳天気さ、アズテック・カメラ の青さ、渋谷系の節操のなさ、スチャダラパーの“それってどうなの?”的視点を糧に、音楽/映画/オーディオビジュアル/ライフスタイル/書籍にまつわる 記事を日々専門誌やウェブサイトに寄稿している。1973年生まれ。名古屋在住。