世界を見渡せば、今年のユーロ優勝に貢献したレナト・サンチェス(16番)のような選手もいる。日本の“19歳”たちもここで満足してはいけないよ。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 日本の現状はどうかと言えば、A代表に引き上げられるような人材がいるとは思えない。「飛び級でハリルジャパンに入れるべき!」といった記事もほとんど目にしない。世界を見渡せば、19歳ならA代表に入っていてもおかしくはないんだけどね。ポルトガル代表のレナト・サンチェスなんて、今年のユーロ優勝に貢献しているからね。
 
 日本にもそういう選手がいなかったわけではない。中村俊輔や小野伸二をはじめ、香川真司、内田篤人も19歳でA代表に選出されている。でも、彼らのような選手が最近はめっきり少なくなってきているよね。
 
 5大会ぶりのU-20ワールドカップ出場は、もちろん喜ばしいことだ。でも、満足していてはダメだし、浮かれてほしくない。過去を振り返って比べてみて、そこで今の日本の実力や成長をしっかりと見極めることが必要だ。
 
 ケチをつけるつもりはないし、相手の国を悪く言うつもりもないけど、タジキスタンやベトナムに勝ったとはいえ、諸手を挙げて賞賛するのは少し違うんじゃないかな。もっと言えば、アジアというカテゴリーで、勝った負けたと騒ぐような時代は、もう終わりにしなければならないと思う。
 
 日本の実力に疑問が沸いてくるのは、Jリーグに問題があるのかもしれないね。U-19代表の何人かの選手たちは、所属クラブで試合に絡めてはいるけど、リーグ自体のレベルが落ちてきているから、それなりの成長しか期待ができない。
 
 バーレーンで開催されているU-19アジア選手権で、日本は準決勝でベトナムに3-0と圧勝し、決勝進出を決めたね。
 
 その前の準々決勝ではタジキスタンを4-0と退け、4強入りを果たし上位4か国に与えられる来年のU-20ワールドカップ出場件を獲得している。
 
 この年代は過去4大会、ワールドカップに出られない時期が続いたけど、久々の世界行きを決めて、まずは一安心といったところかな。
 
 バーレーンでの大会を通してみると、波乱が多かった印象を受けるよ。韓国やオーストラリア、北朝鮮がグループステージで姿を消す一方、タジキスタンやベトナムなど、アジアでそこまで強いと思われていない国の躍進が目立った。
 
 これはいったいどういうことなのか。アジア全体のレベルが上がってきていると言えるかもしれないけど、ディフェンディングチャンピオンのカタールさえ、決勝トーナメントに進出できなかったんだ。不自然というか、どうにも違和感が拭えないよ。逆に、全体のレベルが下がってきているんじゃないのかな。
 
 サッカーの質を見ても、みんな似たり寄ったりだよね。どの国も“早送りサッカー”というか、一生懸命にプレスをかけて、ボールを奪ったら縦に速く行こうとする。個々を見ても、飛び抜けた才能を持つ選手が見当たらない。

【PHOTO U-19アジア選手権】スタメンを入れ替え、ベトナムに勝利し決勝へ
 これは辛口でもなんでもないよ。昔と今の10代から20代前半の選手を比較してみて、例えば、中田英寿や高原直泰を超えるような“原石”がいるのか。こんなことを考えてしまうのは、今の選手たちにどこか物足りなさを感じている証拠だろうね。
 
 そういう目線で見続けていくことが大事なんだ。そうしないと、今のほうが成功していると勘違いしてしまうからね。特に今回は“5大会ぶり”というフレーズがよく聞かれるから、なおさらだ。すごく大きなことを成し遂げたみたいになっているけど、冷静に評価すべきだ。
 
 19歳は決して若くない。そういう意識は常に持ちながら、Jリーグでも一番の話題を集めるような活躍を見せてはじめて、日本サッカー界の底上げにつながるんだ。そうじゃないと、ただ年代別に区切って、その中だけで良い・悪いの判断しかできなくなる。
 
“まだ19歳”というマンネリした風潮も、選手たちの貪欲さや向上心を削ぎ落しているかもしれないね。俊輔はどうだった? 高卒1年目からマリノスの中心選手として、欠かせない存在だったはずだ。それを考えれば、もっと必死にならないと。
 
 アジア全体のレベル低下を感じながら、その中に納まってしまっている日本。いくら結果を出したところで、このままでいいのかと危機感のほうが強かった。これで本当に世界で勝てるのだろうかと不安にもなったよ。
 それと、このチームが中心となって、2020年の東京五輪を戦うと思うけど、チームを率いるのはいったい誰になるのかな。
 
 普通に考えれば、今のU-19代表で指揮を執っている内山監督がそのままスライドする形だと思うけど、でも正式に発表されているわけではない。
 
 では、協会は別の人間を考えているのか。だとすれば、いつから監督に就任するのか。チーム作りはできるだけ早くスタートさせたいはずだから、来年のU-20ワールドカップがそのタイミングなのか。だとすれば、内山監督はどうするのか? 
 
 ピッチの上では選手たちが頑張って戦って、重かった世界への扉を開けてみせた。それなのに、大事な東京五輪に向けた強化という部分で、不透明な部分が少なくない。
 
 Jクラブで契約を更新しなかった監督がやる気を見せているとか、いくつかの噂が僕の耳にも届いているけど、どうなるんだろうね。東京五輪は地元開催で、代表監督は魅力ある仕事だと思うから、狙っている人は多いと思うよ。
 
 話をU-19アジア選手権に戻せば、ファイナルまで進んだのだから、ぜひとも優勝してもらいたい。準決勝はだいぶメンバーを入れ替えたけど、サウジアラビアとの決戦に向けて主力を温存したんだろうね。U-16代表は頂点を掴めなかっただけに、U-19代表は意地を見せてほしいね。