イランとのGL2戦目以来となる先発出場を果たした初瀬は、攻守に顔を出し勝利に貢献。PKは決めきれなかったが、正確なプレースキックで2点目の起点になった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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[U-19アジア選手権・準決勝]日本 3-0 ベトナム/10月27日/バーレーン
 
「もう蹴りません!」
 
 ベトナムとの準決勝後、PKを外してしまったDF初瀬亮(G大阪)に話を向けると、冗談交じりにこう返答した。

【PHOTO U-19アジア選手権】スタメンを入れ替え、ベトナムに勝利し決勝へ
 
「監督から『今日は亮が蹴れ』って言われていた」と言うように、初瀬はこの日のキッカーに指名されていた。2点リードして迎えた27分、岸本武流(C大阪)が倒されて得たPKの場面で迷わず左足を振り抜いたが、GKに完璧にコースを読まれてしまい今大会初ゴールとはならなかった。
 
「今回の遠征では、練習でも全部決めていたんですけどね」
 
 本人がこう明かしたとおり、PK練習では鋭いコースを突いたシュートを何度も突き刺す姿が思い浮かぶ。もちろん、本番となれば状況は異なってくるし、自らの身に降りかかるプレッシャーも別物だろう。そうした点を踏まえつつ、初瀬は苦虫を噛み潰したように‶過去の失敗例″を持ち出しこう続けた。
 
「去年のJユース杯で、自分が外して負けているんですよね。その時は右で外していたので今回は左に変えたんですけど、それで外した」
 
 初瀬が言うのは、15年のJユース杯・3回戦のことだ。東京Vユースとの一戦は、スコアレスのまま延長戦でも決着がつかずPK戦へともつれ込む。その際のキックを失敗し、チームが敗退に追いやられた情景が浮かんのだというのだ。
 
 前日練習で見せていたように、ゴール右上に鋭いシュートを突き刺していればネットを揺らしていたのかもしれない。昨年のJユース杯での教訓を活かしての選択が、かえって逆効果になってしまったのだから、「無念」としか言いようがない。
 
 一方で、その他のプレーには確かな手応えを感じた。グループリーグ第2戦のイラン戦以来となる先発出場を果たし攻守に奔走。正確なプレースキックでチーム2点目の起点になり、機を窺いながら積極果敢なサイドアタックも仕掛けた。
 
 この試合では、今大会で出場時間が限られてきた面々が並んだが、それぞれが持ち味を出し合いながら90分戦えたことに意義も感じている。
 
「出場時間が短い選手が大半だったなか、昨日の練習から『やってやろう』という意識はずっと見えていましたし、そのなかで主力組もいつもの雰囲気を崩さないようにやってくれた。チーム力と言うのは出せたと思いましたし、決勝に向けて良い弾みが出たんじゃないかなと思います」
 
 この年代がいまだ勝ち取ったことのないタイトルまであと一歩。歴史を変えるべく、初瀬はこの日の出来栄えを自信としながら、決勝でも虎視眈々とチャンスを狙い続ける。

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)