大手モールの「感謝祭当日」休業でブラックフライデーは復活するか

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全米最大級のショッピングモール、モール・オブ・アメリカが「感謝祭当日(11月第4木曜日)」に休業すると発表したのに続き、同じく米国で多くのモールを展開するCBL・アンド・アソシエイツ・プロパティも同日は営業をしない旨を決定した。

モール・オブ・アメリカの場合は、ショッピングモールに入居しつつも独自のエントランスを持つ店舗は休業か否かを選択できるが、CBLの場合は、その主要入居者である百貨店のディラーズ(Dillards)を含めモールに属する店舗全てが休業となる。

この決定について、CBLのスティーブン・レボビッツCEOは「感謝祭の日に従業員を休ませ、家族と一緒に過ごせるようにしたかった。それに当社の主要顧客や市場を考えると、休業にするのが最も筋が通っている。出店者や顧客に支持をいただいての決断だった」と説明した。

感謝祭当日に営業することが、翌日のブラックフライデー(クリスマス商戦初日)の売上に悪影響を及ぼすことを示唆する事例や経験的証拠は十分にある。だから営業せずに、感謝祭当日は従業員が家族と過ごせるようにするのは賢明な判断だ。

ブラックフライデーはかつて、「一年で最も忙しいお買い物デー」との異名をとっていたが、今ではその勢いを失いつつある。長く小売ビジネスに携わっている人間に言わせれば、クリスマス商戦で最も忙しいのはスーパーサタデー(クリスマス直前の土曜日)なのだ。

とはいえ、ブラックフライデーの不振については、感謝祭当日の店舗営業が大きな要因だとされている。従業員の負担に見合った金銭的利益も生まれていないことから、小売各社に利益以上に損失をもたらしている。その結果ますます多くの小売業者が感謝祭当日の休
業を決めており、アウトドア用品大手のREIにいたっては、ブラックフライデーも営業しないという決定を下している。

「当社の小売パートナー各社の意識が、この1年だけでも大きく変わった」とレボビッツは言う。「開店時間が毎年数時間ずつ早められるなど、感謝祭の商戦が過熱しすぎていると考える層が増えてきているようだ」

感謝祭当日の店舗を営業するというトレンドは4年前に高まりを見せたが、これはオンラインショッピング(EC)の脅威に対する過剰反応だった。多くの小売業者やショッピングモールの運営会社が、「オンライン店舗が感謝祭当日に営業しているのだから、競争力を維持するためには自分たちも営業しなければ」と考えたのだ。しかし、一日多く営業するには、電気代や給与などそれなりのコストがかかる上、その分の売上を上げることは簡単なことではない。

また最近では、ECはかつてほど脅威とは受け止められていない。各社のオムニチャネル戦略は進化を続けているが、オンラインでの売上は全体売上の10%未満であり、ECによる市場シェアの浸食ペースは減速している。

さらに経営コンサルティング会社A.T.カーニーの報告によれば、オンライン売上の50%以上は、実店舗を持つ小売業者が占めている。オンラインのみの各小売業者と、同じ方法で競う必要性は減っているのだ。実際、多くの小売業者は、感謝祭当日にどうしても買い物をしたい消費者に対し、オンラインで買い物をして週末に実店舗で受け取るようにすることを勧めており、年々このシステムの人気が高まりつつある。

CBLとモール・オブ・アメリカによる今回の休業発表がドミノ効果を生み、そのほかのショッピングモール運営会社や大規模小売業者も、休業の決断をするのだろうか? それには、市場特性や顧客の属性が各企業の判断に大きな影響を及ぼすことになるだろうと筆者は考える。

感謝祭当日に休業する店舗が増えることで、ブラックフライデーが再び「ブラック(黒字)」に戻るかどうかは、まだ分からない。はっきりしているのは、個々の小売業者や運営会社は今後も引き続き、自社のポートフォリオや顧客にとって何が一番理にかなっているのかに基づいて判断を下していくだろうということだ。そもそも、そうあるべきなのだ。