【コラム】飛び級でU19招集の丸刈りストライカー 中村駿太が見せた類まれな個性とは 

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 丸刈り頭のストライカーが結果を出した。27日(日本時間28日)に行われたAFC・U−19選手権準決勝ベトナム代表戦。内山篤監督はターンオーバーで準々決勝の先発11名中10名を入れ替えた。ここまでともに3得点の小川航基(ジュビロ磐田)と岩崎悠人(京都橘高)に代わって2トップの一角を担って2ゴールと結果を残したのは、中村駿太(柏レイソルU−18)だった。

 飛び級招集で選ばれた17歳。次回大会への資格も持つ期待のホープだが、決して将来性を買われてメンバー入りしたわけではなく、あくまで戦力としての招集である。本人も大会前から「まずチームの勝利に貢献したい」と意欲を語っていた。イランとの第2戦では初先発も飾ったが、「ボールを受ける位置が低くて、決定的な(仕事のできる)ところへ入っていけなかった」と悔やむ出来に終わり、無得点。世界切符獲得の決まった準々決勝も交代出場でピッチには立ったものの、ストライカーとして何よりこだわるゴールという結果を残せないモヤモヤを抱えたまま、この準決勝を迎えていた。

 中村のプレーヤーとしての個性は明確だ。身長は170 センチメートルと小柄だが、ゴール前で怖さを出せるリアルなストライカー。内山監督もポジショニングを調整して縦パスを引き出せる器用さと、ゴール前での嗅覚を高く買っている。この試合の2ゴールはまさにその個性が出た形。まずは前半10分、FKのこぼれ球からこの試合2点目を奪い取る。セットプレーで指揮官が中村に与えていた指示は、「GKの前でゴールの匂いを嗅げ」というもの。高さがあるわけではないが、独特の感性があるストライカー。「(ボールが)来そうなところに、感覚で行った」と振り返る形で、ゴールを奪い取った。

 自身の2点目、チームにとって決定的だった3点目も“らしい”形だった。MF遠藤渓太(横浜F・マリノス)のクロスに競り合った流れから、素早く反応。クリアに行ったDFに対して、「足の面をゴールに向けることを意識した」と伸ばして、クリアボールを自身の足にぶち当てる形でシュート。とっさの反応とゴール前での冷静さというストライカーらしい個性が見事に出たゴールとなった。

 一方、試合後にはトレードマークの丸刈り頭について問われて報道陣の笑いを誘う一幕も。普段は父・太一郎さんに刈ってもらっており、「別に嫌なら(丸刈り頭を)やめてもいいんだぞ」と言われているが、「他にしたい髪型もないし、みんなから可愛がってもらえるのでこれでいいのかな」と笑う。大会前にも恒例の3ミリに刈ってもらっていたが、合宿が始まってからは伸びてきていた。苦汁をなめたイラン戦終了後には、チームドクターがバリカンを所持していることが分かったため、再度刈ってもらったという。いつも「気合いを入れたいときには刈り直してもらう」というから、意味のある儀式だったのかもしれない。

「素晴らしい先輩たちがいて、本当に毎日が学ぶことばかり。(現在先発の小川と岩崎)の二人は本当に凄い」とあふれんばかりに敬意を語りつつ、「でも負けたくはないんです」と付け加える負けん気の強さを併せ持つ。次の決勝戦でも、その先のステージでも、まれな個性を持った丸刈り頭のリアルストライカーの力が必要になるときはきっと来るに違いない。

文=川端暁彦