人々の心をつかむ印象的な演説に定評があるオバマ大統領ですが、その影には演説の原稿を作成するスピーチライターの存在があります。そのオバマ大統領のスピーチライターを務めた経験を持つデビッド・リット氏が、大統領のスピーチライターとして働くのはどういうことかを赤裸々に語ったインタビューの様子が公開されています。

Meet the Speechwriter Behind Obama's Best Jokes - YouTube

この男性がリット氏です。リット氏は24歳という若さでオバマ大統領のスピーチライターになったのですが、最初はオバマ大統領のことをほとんど知らなかった上に、政治にも興味がなかったそうです。



大統領のスピーチライターに全く興味がなかったリット氏が、初めてオバマ大統領の演説を聴いたのは、オバマ大統領が大統領候補時代の2008年にアイオワで行った勝利演説のとき。その演説に心を打たれたというリット氏は、オバマ大統領が成し遂げようとしていることに参加したいと強く思ったそうです。



オバマ大統領のスピーチライターを務める上で最も難しかったことは、大統領の演説がどれほどの影響力を持っているかを理解すること。「大統領の演説を一字一句書き留めて記事にする人がいて、時には文脈を無視して解釈されることがあります。これはものすごく怖いことです」とリット氏は語っています。



また、「どのようなプロセスでオバマ大統領の演説を書いているのか?」と聞かれたリット氏は「もし何も書くことが頭に浮かばなかったら、書くのではなく声に出して話してみるようにしています。演説は読まれるものでも、聞かれるものでもありません。自分で声を出してしゃべりながら文章をまとめたら、それを大統領が読んで理解できるように編集します。ときにはYouTubeでオバマ大統領の過去の演説を聴いて、言葉の持つ力を理解するように努めていました」と回答。



オバマ大統領はジョークを織り交ぜた演説でも有名です。数ある演説の中でもジョークで人々の心をつかんだのは、2015年のホワイトハウス記者クラブ主催の夕食会の演説。この演説でオバマ大統領は隣にコメディアンのキーガン・マイケル・キー氏を立たせ、オバマ氏の怒れる心の声を担当させるという変わった試みを行いました。



ホワイトハウス記者クラブ主催の夕食会の演説は以下のムービーから確認できます。オバマ氏が「ものすごい早さで流動する世界において、この伝統的な夕食会は非常に重要です」と話すと、少し間をおいてキー氏が「この夕食会は一体何だ!なんで私が出席する必要があるんだよ!」と心の声を叫んで夕食会は大爆笑に包まれます。

President Obama's Anger Translator (Full + HD) - YouTube

この演説についてリット氏は「演説に人々の注意を向かせるというのは、ここ数年でものすごく難しいことになりました。私は気候変動についての演説を作成したのですが、参加者の人数がそれほど多くないので少し変わったことをやってみようということで、オバマ大統領が話した後にキー氏が怒れる心の声を話すという演説をすることなったんです。結果、Facebookで演説のムービーが4000万回以上再生されました。笑える演説というのは、人の注意を引かせるには非常に有効的なんです」と舞台裏を明かしています。



リット氏によれば、オバマ大統領の演説は、真面目な内容であれジョークであれ、時には世界を巻き込む議論を呼ぶことがあるとのこと。オバマ大統領の演説を作成していたのはリット氏だけではなくスピーチライターチームですが、そのチームに加わるのはとても特別なことと感じたそうです。



リット氏はインタビューの最後で、オバマ大統領と一緒に仕事をして最も楽しかったことについて聞かれ、「世の中には、話すだけで聞いている人たちの忘れられない思い出になり、その人たちの人生を変えてしまうくらいの能力を持つ人がいます。オバマ大統領はこの能力を持っている人物です。演説を書くことで、聞いている人の人生を変える瞬間に参加できるのは素晴らしいことでした」と話しました。