“21世紀の魔法使い”と呼ばれる落合陽一氏。今回は「AI」や「VR」の進出を予言する!

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コンピューターと人間の境目がなくなっていく「デジタルネイチャー時代」の到来を予言する、“21世紀の魔法使い”こと落合陽一が、人類の未来を予言する当連載。今回のテーマは「『ロボット彼女』の実現可能性」だ。

AI(人工知能)やVR(仮想現実)、ロボットが人間の生活にどんどん進出してくるなか、未来の仕事や恋愛はどうなるのか? そこで人間には何が残るのか? そのキーワードは「エモい」!

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■『君の名は。』と『枕草子』の共通点

―最近、「エモい」がすっかり口癖ですよね。「激エモ」とか(笑)。「エモい」ってなんですか?

落合 文字どおり「エモーショナル」ってことなんですけど、ロジカルの対極にある、一見ムダなもの。要するに「いとをかし」ですよ。

― 清少納言(せいしょうなごん)の『枕草子(まくらのそうし)』に出てくる言葉。古文の授業だと「とても興味深い」みたいに現代語訳されますね。

落合 新海誠(しんかい・まこと)監督の映画『君の名は。』が大ヒットしてるのも、「いとをかし」だからじゃないですか? ストーリーも超面白いんだけど、それを脇に置いて、水ぴちゃーん、雲ほわーん、夕暮れバーン、みたいな演出だけでも見られる映画って珍しいですよね。エモさしかない。

―で、なぜ「エモい」ことが重要なんですか?

落合 人間にとってエモいこと以外は、もう全部コンピューターにやらせればいいからですよ。ロジカルな部分はAIのほうが圧倒的に正確で早いし、逆に人間は感情的なパラメーターが一番得意なところでしょ。

―弁護士の仕事でいえば、過去の判例を探してくるのはAIのほうが早そう。

落合 ですよね。でも、裁判員の心に訴えかけるプレゼンが重要な場面もあります。役者能力というか。そういうエモいところは残る。

―なるほど。じゃあ、人間の一番エモい部分にはAIはなかなか入れないですか。「ロボット彼女」とか。

落合 いや、マテリアルなロボットじゃなくて、VRとかAR(拡張現実)ならすぐできるんじゃないですか。家に帰ってARゴーグルを装着すると、室内を「AR彼女」が歩いていて、普通に会話もできる、みたいな。

―そのAR彼女に、人間は感情移入できますか?

落合 そこはイメージ戦略の問題でしょう。映画で感動ものを作れるかどうか、と考えるとわかりやすいですよ。「夫を亡くした老婆とAR青年の同居物語」って、映画になると思いません?

―なりそう!

落合 でしょ。だから、あとはいつハリウッドがそこに乗るか。今はまだ、「人は人と生きなくてはならない」という“社会の常識”がそれに抗(あらが)っているから、「AIが人類を滅ぼす」みたいな話を作ることにご執心ですけどね。そこが変われば、一気に世の中は変わるでしょう。

―ところで、VR彼女やAR彼女はすぐできるとして、マテリアルな「ロボット彼女」はどうですか?

落合 もう少し時間はかかりますけど、コンピュテーショナル(コンピューターで処理・計算・分析できる)なモデルが確立されれば、それを3Dプリンターで出力するとか、サーボモーターで関節を動かすとか、そういう形でできるようになりますね。

―おお! 技術的にはもうすぐだと。

落合 ただ問題は、ロボットって関節の駆動音がものすごくうるさいんですよね。それは技術的にまだしばらく解消されないと思うから、工事現場とか戦場ならいいけど、一緒に暮らすのはどうかなあ。

◆この続きは『週刊プレイボーイ』45号「落合陽一の人生が変わる魔法使いの未来学」にてお読みいただけます! 人間とAIの共生は、もう始まっている!?

●落合陽一(おちあい・よういち)

1987年生まれ。筑波大学助教。コンピューターを使い新たな表現方法を生み出すメディアアーティスト。筑波大学でメディア芸術を学び、東京大学で学際情報学の博士号取得。デジタルネイチャーと呼ぶ将来ビジョンに向けて表現・研究を行なう。著書に『魔法の世紀』(Planet)、『これからの世界をつくる仲間たちへ』(小学館)がある

(取材・構成/小峯隆生 撮影/佐賀章広)