本来であれば、別に気にすることではないかもしれない。2014年シーズンの序盤戦にも一度、彼女はその屈辱を味わったことがある。

 だが、シーズン終盤の大事な時期に、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン(9月23日〜25日/宮城県)、日本女子オープン(9月29日〜10月2日/栃木県)、スタンレーレディス(10月7日〜9日/静岡県)と、3試合連続の予選落ちを喫したのである。それが、かつての賞金女王であり、昨季賞金ランキング7位の上田桃子が起こしたことだけに、さすがに心配になった。

 第一、今季もここまで25試合に出場してトップ10位入りが5回。賞金ランク28位と来季のシード権はほぼ確定させて、決して調子が悪いわけではなかった。いったい、上田の身に何かあったのだろうか。

「これまで、スコアを組み立てる部分はできていたのですが、自分の目標としているスタイルは、そういう目先のゴルフではなく、『そんなゴルフをしていても(目標のスタイルに近づくには)遠いな』と、ずっと思っていました。そこでこの1カ月の間に、ある程度の覚悟を持って、スイングも少し変えましたし、いろいろなところを変えました。こんなことは、今まで経験したことがないです」

 上田は、かつてない"大改造"を行なっていたのだ。それが、3試合連続予選落ちの理由だった。しかしそれは、彼女が目指すスタイルを確立するため、そして再び飛躍するためには、必要な"改革"だった。

「いいショットができなければ、変えなきゃいけない。そう思って、コーチと一緒にいろいろなことに取り組みました」

 そもそも上田は、ツアー屈指のショットメーカーとして定評があった。だが、武器である正確なショットは、ここ数年鳴りを潜めている。2014年シーズンの樋口久子 森永レディスからおよそ2年間、優勝から遠ざかっているのも、その影響があるのかもしれない。

「今年の全英女子オープンに出場したあとには、できるだけストレートに近い出球が出るような練習もすでにやっていました。もともとドローヒッターですが、どちらの球筋も打てるようにならないといけないな、と思ったんです。それから、意識やアライメント(アドレス時の体の向き)など、あらゆることを変えていきました。」

 この"改革"の時間は、上田にとって相当つらいものだったに違いない。しかし、彼女はへこたれなかった。もう一度頂点に立つために、自らの考え方を一から改めて、練習に打ち込んだ。休日をとって気分転換を図るようなこともなく、朝から晩までひたすら球を打ち続けたという。

「気持ちをリフレッシュするような時間はなかったですね。ゴルフのことは、ゴルフで考えないといけない。だから、とにかく球を打っていました。ほんと、朝から夕方までずっと。コーチから『練習しすぎだ』なんて、言われませんでした。むしろ、今の私の状況からして、コーチも『とにかく、今は(練習を)やれ!』というスタンスなので(笑)。

 だいたいコーチとは、『練習をやりすぎて死んだ、っていう話は聞いたことがないよね』って話をしていましたから。自分が(練習を)やれるうちは、納得するまでとことんやろうかな、と。それでも、まだまだですけどね」

 上田はそう言って笑った。過酷な時を乗り越えて、今は精神的にも余裕が生まれているのかもしれない。

 これまでの上田は、追い詰められたとき、ストイックになりすぎる一面があったが、そうした部分にも変化が表れ始めている。

「(何事も)最後はやっぱり自分にしかわからないな、と思っているんです。私には、コーチも、トレーナーもついていますから、いろいろな人に頼りたいっていう気持ちもあるし、(自分では答えを見つけられず)どうしたらいいんだろうって思うこともあります。けれども、自分でがんばりたいっていう気持ちも、あらゆることすべてひっくるめて、自分にしかこの状況は打破できないんです。

 ただ、自分が焦ったら、周りも焦る。だからこそ、地に足をつけて、1個ずつ(課題を)クリアしていくしかない。それで今は、(自分の中の)ギアをひとつ落とした感じでいます。今までだと、がんばりたいっていう気持ちばかりが強かった。でも、そのがんばりたいっていう気持ちが強すぎると、逆に空回りしたり、先走ったりしてしまうことが、よくわかったんです。だから1個ずつ、やれることをクリアしていくしかないなと、今は思っています」

 結果が出ないからといって、焦ってはいけない。課題や問題など、ひとつひとつ冷静にクリアしていくことの大切さを知った上田。3週連続予選落ちのあと、先のNOBUTA GROUP マスターズGCレディース(10月20日〜23日/兵庫県)では、大会初日に「68」をマークして2位タイと好発進。そのまま、きっちり予選を通過し、最終的には16位タイでフィニッシュした。

 まもなく、"強い"上田桃子が戻ってきそうである。

by Kim Myung-Wook