韓国に入国した脱北女性の中には、中国に子どもを残してきた人が少なくない。貧困から逃れるために脱北し、人身売買されて中国人の男性と結婚し子どもを生んだが、北朝鮮に強制送還されることを避けるために、子どもを残して韓国に逃げざるを得なかったからだ。

そんな女性たちのグループ「統一マム」。このほど代表らが訪米し、政界、財界、人権活動家に対して支援を求めた。韓国国籍を持つ彼女らが米国を訪れた理由を、米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)が報じた。

代表のキム・ジョンアさんによると、統一マムが求めるのは、脱北女性と中国人男性の間で生まれた子どもに戸籍を与えること、韓国国籍を持った脱北女性が子どもに会えるように面接交渉権を与えること、母親と子どもが望むなら母親が養育権を持てるように法的、制度的に保証することの3つだ。

韓国国籍を持った彼女らが、韓国政府ではなく米国や国連に支援を求めているのは、要求を中国政府にきちんと伝わるように助けてほしいという理由だ。米国や国連が動けば、中国も動くだろうと見ているのだ。

メンバーの一人、イ・ヨンヒさんも中国に息子を残して来た。もう10年前のことだ。

「去年11月に息子に会いに行ったが、泣き続けたのは私だけで、息子は言葉も涙もなかった。母親への感情がなくなったのもかもしれない。義母に『母親はあんたを捨てて出ていった』と言われていたようだ。現地には5日間もいたけど、全くコミュニケーションが取れなかった」

そんなつらい体験を誰にも話せずにいたイさんだが、統一マムの活動に加わり、国際社会に訴える機会が得られた。

ファン・ヒョンジョンさんは、中国ではなく北朝鮮に娘を残してきた。人身売買の犠牲になり、中国人男性に売られたが、娘に会うために逃げ出そうとしてひどい暴行を受けた。全身を殴られ続けたが娘に会いたい一心で耐え続けた。3回目に逃げて捕まったときには、3〜4人の男に殴られた。義父は「殺せ」と言っていた。

その後、夫に従順なふりをして大都市で働き、夫が人身売買ブローカーに払ったカネなど一切の借りを清算した後、韓国に逃げた。

代表のキムさんは、女性たちの窮状を訴えた。

「中国人の夫には善良で優しい人、暴力を振るわない人もいる一方で、暴力ばかりで人間扱いをしない人もいる。最も問題になるのは戸籍がないことだ。殺されても訴え出ることすらできない」