リストバンド型活動量計は100%正確ではない、米研究者が忠告

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心臓専門医らの下には、フィットネストラッカー(リストバンド型活動量計)の数値を見て驚いた人たちがよく診察を受けに来るという。そうした人たちは大半が若く健康で、ハーフマラソンも走れるような人たちだ。

米国心臓協会によると、散歩をしているだけのときにも、フィットネストラッカーは心拍数190bpm(30代の平均最大心拍数)の計測値を示すことがある。医学誌「JAMA 心臓病学(JAMA Cardiology)」に10月12日に掲載されたクリーブランド・クリニックの心臓外科医マーク・ギリノフらの論文によれば、研究チームの調査結果は活動量計の数値を見て驚き不安になった健康な人たちよりも、実際に心臓に問題がある人たちに不安材料を与えるようなものだった。

研究チームは健康な人たちを対象に、ランニングマシンを使った調査を実施。「アップルウオッチ」「ミオ・フューズ」「フィットビット・チャージ HR」「ベーシス・ピーク」を装着した状態で、静止、歩行、走行を繰り返してもらった。さらに、これらの活動量計が示した数値をチェストバンド式心拍モニター「ポラール H7」が示す数値と比較した。ギリノフによると、フィットネストラッカーと心電図のデータを比較した実験結果が科学雑誌で公表されるのは、今回が初めてだ。

この調査の結果、計測回数のうち99%で正確な心拍数を計測できるというポラール H7の測定結果と同じ数値を示したリストバンドは一つもなかった。4つの活動量計のうち、アップルウオッチとミオ・フューズが正確に心拍数を測定した割合は91%。フィットビットは84%、ベーシス・ピークは83%だった。歩行・走行の速度が測定値に影響を及ぼしていたとみられる。

実験の参加者は平均年齢37歳と比較的若く、BMI(体格指数)も平均23.5とやせ型の人が多かった(25以上が過体重または肥満)。ギリノフは、「過体重の人や循環機能が低下している人、高血圧の人の場合、活動量計の精度は落ちると考えられる」と指摘している。これらは皮膚に光を当て、心臓の収縮に伴う血液量の変化を検知する仕組みだからだ。前述のような状態の人たちの場合、正確な測定は難しくなるとみられる。

ギリノフは、「常軌を逸した測定値が出ても、自分で何の問題も感じないなら恐らく本当に問題はない。だが、本格的に競技を行っているアスリートがトレーニング中の心拍数を正確に把握したい場合には、チェストバンド式のモニターを使った方がいいだろう」と話している。

ギリノフは今後、腕や脚を動かす運動をした場合の測定値について調べたその後の実験結果をまとめ、新たな論文を発表する予定だ。こうした運動をした場合には精度が大幅に落ちるが、それは手首に装着した活動量計のバンドが緩むことが原因ではないかと推測している。

「医療機器ではない」

一方、フィットビットの広報担当者は声明を発表、「医療機器としての使用を意図したものではない」と強調している。60人以上を集めて独自に行った「社内での詳細な調査」から、フィットビットの「ピュアパルス」光学心拍計技術は「リストバンド型の活動量計に求められる業界基準を満たしていることが確認された」という。

この社内調査の結果は査読のある科学雑誌に掲載されたものではないため、われわれはフィットビットの説明を信用するしかない。その調査結果では、測定値の平均絶対誤差は1分当たり6回未満(誤差率は平均6%未満、ギリノフらの示した16%の約3分の1)とされている。

フィットビットの心拍数データの精度が疑問視されるのは、今回が初めてではない。今年1月には同社に対する集団訴訟が提起され、カリフォルニア州立技術専門大学の研究者2人に対し、「フィットビット・チャージ HR」を含む3機種の精度に関する調査が委託された。

同大学の研究チームは、「フィットビットの心拍数データと心電図で測定された心拍数には、極めて弱い相関性がみられるにとどまった」との調査結果を明らかにした。この研究者たちはギリノフらと異なり、調査結果から得るものが多い法律事務所から報酬を受け取った上で、調査を行っている。