【輸入vs国産】200万円級コンパクトカー比較テスト

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価格で見ると国産と輸入コンパクトの垣根がなくなっている

今、国産&輸入コンパクトの間でちょっとした逆転現象が起こっている。輸入車に魅力的な200万円前後のエントリーモデルが揃っているのに対して、国産コンパクトや軽自動車の上級グレードの価格がけっこう高値になっていたりする。


ここではデザインだけでも思わず選びたくなるコンパクトカー5台を集めてみた。なかでも象徴的なのが4気筒1・2ℓエンジンを積むフィアット500 1・2ポップ。その価格なんと199万8000円だ。

一方、3気筒660侫拭璽椶N-ONE最上級のプレミアムローダウンは169万8000円と強気の値付け。輸入車の安全装備充実度を考慮すると、フィアット500の割安感はさらに高まると思える。


ではまずこのクラスのコンパクトカーでちゃんと走るのか? と思われがちな高速走行で5車を比較した。

高速移動は500とキャストがラク

フィアット500はそのキュートな内外装デザインだけでも選びたくなるイタリア車らしい1台だが、そのポップさとは裏腹に高速走行は得意。乗り心地はマイルドで路面の継ぎ目を乗り越えても想定外にしっかりしたボディ、足まわり剛性で体に優しいタッチを示す。

パワステはビシリと引き締まり、直進感に優れるため、長時間の高速走行も難なくこなす。とくにレーンチェンジ時の安定感の高さは特筆ものだ。高速走行で穏やかな性能を示すエンジンは黒子に徹し、100/h走行時のエンジン回転数は約2750rpmだがじつに静か。


RRレイアウト採用のスマートフォーフォーは、フィアット500ほどではないにしてもオシャレな内外装デザインなど斬新さがウリ。高速ではボディ、足まわり剛性の高さがもたらすフラットで硬めの、より大きなクルマに乗っている感覚のある乗り味、すっきりとしたロードノイズ遮断性能が好ましい。

とはいえ80/hを超えるとドアミラーまわりからの風切り音が盛大。RRレイアウトのため強い横風にはやや弱い。

パッソの高速走行はボディの高い剛性感によるクラスを超えたしっかり感ある乗り心地、段差越えでの振動減衰性能はさすが。しかし高速レーンチェンジ、首都高のきついカーブなどのシーンでは前輪のインフォメーションが不足気味で、アップライトなシートの高さから腰高感が目立ってくる。


立派な顔つきと16インチタイヤ、MOMO製本革巻ステアリングが自慢のキャストスポーツの高速性能はほとんど目からウロコ。ほかのキャストもそうだが、高速直進安定性、横風安定性に優れ、660侫拭璽椶侶攫動車にして、横風の強い日でも追い越し車線をカッ飛んで直進できる実力の持ち主。

このスポーツならレーンチェンジ時の安定感も上級スポーツセダン並みなのだ。エンジンを回さない領域なら静粛性も高く、ロングクルーズでも疲れにくいのが意外。


N-ONEの高速走行性能は優等生そのもの。特筆すべき点はないものの、静かで安定感に優れ、しっかり直進する。乗り心地はしっとり感もあり、軽自動車のレベルの高さを実感させられる1台。が、N-ONEはターボに限る。NAだと動力性能はギリギリ。

ではエンジン性能についてまとめてみよう。パワー的に穏やかながら、セミATでその実力をいかんなく発揮するフィアット500、スムースさが光るDCTのスマートフォーフォー。その気になればパワフルで痛快なパフォーマンスを発揮してくれるキャストスポーツがベスト3。


パッソはあくまで実用に徹したエコユニット。N-ONEはエンジンに特徴なしといったところだ。

高速同様500とキャストがワインディングで楽しい!

次なる走行シーンは一般道と山道。ここで際立ったのがフィアット500。市街地では視界、小まわり性のよさでストレスない走りを披露。セミATは出足、加速時に多少慣れが必要だが、以前より確実に制御がよくなっていた。サスはよく動き、荒れた路面、段差越えでのショックも軽微。

しかしそれ以上に感動したのが山道での走りの楽しさと安定感の高さ。エンジンレスポンスは穏やかだが、路面に張り付くようなフットワークは絶品! だから山道の下りはじつに楽しく痛快そのものだった。

スマートフォーフォーは市街地でこそストローク感、重厚感あるゆったりした乗り心地が好ましく、DCTの賢い制御に満足できるものの、山道では楽しめない。姿勢変化が大きめでクルマの動き全体がスローだからだ。得意なのは市街地と高速走行である。


パッソも同様で、路面が荒れた山道でも乗り心地はそこそこいいものの、アクセル、ステアリングレスポンスが穏やかすぎてキビキビ痛快な走りとは無縁。

N-ONEにしても山道では乗り心地重視の足の柔らかさが目立ち、姿勢変化が大きくカーブで前輪が外側にふくらみやすい傾向がある。


その点、山道をカッ飛ぶキャストスポーツは水を得た魚。今回の5台中、唯一パドルシフトを装備し、リニアでトルキーにまわる3気筒ターボエンジン、抜群の安定感をみせるフットワークテイストが際立つ。痛快にして安心・安定感高い山道走行を楽しませてくれたのだ。


走りの面での結論として、5車ともに市街地、ゆったりした高速走行では十二分な性能を持ち合わせる。燃費性能ならパッソだ。デザイン性、山道を含む走りの楽しさで圧倒するのは間違いなくフィアット500、次いでキャストスポーツだろう。

ラゲッジは高さ方向なら国産3台が優位

ではコンパクトクラスでは気になる使い勝手なども触れておこう。

まずはインテリア。インテリアの質感ではデザインに惚れて買っても絶対に後悔しないほど、細部にまで凝ったフィアット500。

軽自動車にしてポップで、たとえばエアコン操作パネルの上質感が光るキャストスポーツ。

インパネにまでシート地と同じファブリックをあしらったスマートフォーフォーが際立つ。

パッソもなかなかだが、N-ONEはフツーだ。


続いてラゲッジもみてみよう。床下収納を完備するのはキャストスポーツ、N-ONE、パッソ。キャストは後席スライドでラゲッジ奥行きを890〜1320个鵬鎚僂任て便利である。

高さ方向にゆとりがあるのは国産3台。ラゲッジフロア地上高が低く重い荷物を乗せやすいのはN-ONEだ。逆にスマートはかなり高め。フィアット500は平均的な使い勝手となる。

お次はシートだ。フロントシートでは、シートクッションが長く落ち着いた着座感が得られるのはフィアット500とスマート。両車500仭宛紊發△蝓長時間の着座に向く硬めのかけ心地。

一方、ソファ的かけ心地なのがセミベンチタイプの国産3車。パッソは背中の包まれ感、キャストは適度なホールド感が好印象。デザイン&掛け心地のバランスならフィアット500。


リヤシートは、前席に対しシートが高めにセットされ前方見晴らし性がよく、足もとがフラットで居心地いいのは軽自動車の2台。

パッソの膝まわり空間は5台中最大。空間の広さなら国産3台だ。

スマートは4ドアでも前席ハイバックシートで後席に座ると足もと狭く圧迫感あり。

フィアット500はシート幅が広く2ドアでも乗降間口はスマートと同等だ。

最後にコストパフォーマンスについてまとめてみよう。コストパフォーマンスに優れるのはズバリ、デザイン性と可愛さだけじゃなく、市街地、高速、山道を含めた走りも楽しいフィアット500。1.2ポップだとマニュアルエアコン、ハロゲンヘッドライトになるものの、それでも199万8000円は超買い得。

そして162万円の軽にして大人のスポーツテイストを存分に味わえるキャストスポーツも中身が濃く買い得。自動ブレーキを標準装備するのはパッソとキャストで、N-ONEはオプション設定となっている。

また今回高速道路と一般道にて燃費も計測した。結果は以下の表のとおりなので参考までに見てほしい。

(文:青山尚暉/写真:増田貴広)