「自民党 HP」より

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「いつ選挙があってもいいという準備を怠りなくやっていく」

 9月に自身の派閥の会合で、こう語ったのは、自民党の二階俊博幹事長だ。この発言を機に、年明けの1月の衆議院解散、2月総選挙説が一気に浮上。その後も二階氏は「選挙の風が吹き始めている」(10月10日)と発言し、同12日には高村正彦副総裁も「確かなことは解散風が吹き始めているということだ。常在戦場の心構えを超え、なんらかの準備を始めたほうがいい」と語り、「年明け早々の冒頭解散じゃないか」「いや、年内にあるかも」といった憶測が永田町を飛び交い、気の早い週刊誌は当落予測記事の準備に余念がない。

 自民党の若手議員は不安な顔をのぞかせながらも、来たる日のための準備を始めた。

「7月の参院選は、32の1人区のうち、野党共闘による統一候補との一騎打ちの選挙区でわが党は11選挙区で敗れた。加えて、10月16日投開票の新潟県知事選では、民進党が自主投票としながらも、自公推薦の森民夫氏は負けてしまった。今後、野党が政策協定を結び、統一候補の準備が整えば、衆院選はとてつもなく厳しい結果となる。だから、まだ野党の足並みが揃わないうちに解散に踏み切るのは当然のことだ」(同若手議員)

 確かに、野党の足並みはまだ揃わないまま。10月23日投開票の東京10区、福岡6区の衆院補選は共に与党陣営が勝利をものにした。東京10区は小池百合子都知事を応援した若狭勝氏が出馬することで、自民党都連と党本部との意識のズレが残ったまま選挙戦に突入。しかし、小池人気を追い風に圧倒的な力で、民進党公認の鈴木庸介氏を破った。

 福岡6区は無所属の鳩山二郎氏が同じく無所属新人の蔵内謙氏、民進党新人の新井富美子氏を退け、当選を果たした。6区に関しては、自民党の公認争いが長引き、結局当選したほうを追加公認するという“保守分裂選挙”となった。

 与党勝利は、野党が政策協定を結ぶことなく、民進党の公認候補のみが出馬し、共産、社民、自由党(前・生活の党)の支援を受けずに戦ったからとの見方がもっぱらだ。いまだに民進党幹部、とりわけ野田佳彦幹事長などが共産党アレルギーを口にしたり、自由党代表の“小沢一郎嫌い”を公言したりすることが障害になっているという。だからこそ、今のうちに解散に打って出るのは、当然の成り行きだとの読みが生まれるのである。

●来年1月解散はない?

 ところが、ある自民党関係者は真っ向から来年1月解散説を否定する。その理由は3つ。

「まず、予算の問題が第一。通常国会召集直後に解散すれば、来年度予算は間に合わなくなる可能性が高い。このご時世にそんなことをすれば、自民党は袋叩きになる」(同関係者)

 日本経済の立て直しの道半ば。そう訴え続けてきた安倍晋三首相が、経済を根底から揺るがす真似はできないとの指摘だ。続けて区割りの問題に言及する。

「1票の格差を是正するため検討している衆院選挙区画定審議会は、来年5月末にも小選挙区について0増6減の改定案を勧告する予定。安倍首相は勧告前の解散は法的に縛られないと言ったが、あくまでもフリーハンドを保つための方便で、勧告後に区割り変更した上で解散したほうがいいのはわかっている」(同)

 区割りが足かせになれば、野党はそれに従い準備をしてくる。そのために煙幕を張っただけで、何度も司法に逆らうつもりはないとの見方だ。

 そして、当然のことながら、解散権は首相の専権事項だということだ。

「伝家の宝刀を抜くのに、何カ月も前から手の内を明かすバカはいない。自民党の中堅・若手には常在戦場で気を抜くなと叱咤し、野党は早々と準備して“兵糧”がなくなれば儲けもの。そんな程度の話だ」(同)

●12月総選挙説が有力か

 では、肝心の選挙時期はいつなのか。現在の衆院任期が2018年12月13日まで。つまり、再来年になれば、追い込まれ解散も予想され、党内での安倍首相の求心力もガタ落ちする可能性もある。なので、17年内のどこかで解散を打ちたいのは道理だ。

 ネックになるのは、夏の都議選。公明党が都議選と同時期の解散総選挙だけはノーの立場なので、夏を外すことは確定している。

「つまり、来年11月解散、12月総選挙との見方が、自民党上層部では有力です。もちろん、本当のところは安倍首相しかわかっていません」(同)

 いずれにせよ、来年が“選挙イヤー”になることだけは間違いなさそうだ。
(文=朝霞唯夫/ジャーナリスト)