2020年までに飲食店では原則禁煙に?(shutterstock.com)

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 最近、「町中華」が脚光を浴びているが、町の中華食堂は旧態然とした喫煙可能な店が多い。味がレトロならば、食後の一服に関しても分煙以前の昭和風情が燻っている次第だ。

 それを覚悟で入店する際はなるべく「喫煙者」と思しき先客から離れたカウンター席などを選んで腰かける。が、後からの来店者が横に座り、食後どころか「とりあえずの一服」を吹かし始めたら、格安美味な満喫感も食べる前からすでに台無しだ......。

 もし、2020年開催の東京オリンピック/パラリンピックまでに外国人観光客らの間でも「町中華ブーム」が起きたら、はたして、そのての店舗から灰皿が消え去るのだろうか。その日まで、煙草を吸わない町中華好きは我慢と遠慮を強いられるのだろうか!?

 いや、大丈夫。小池百合子・新東京都知事は負けておれんとばかりに、五輪に向けていよいよ厚生労働省に「煙」を、いや、「重い腰」をあげさせてて、飲食店の「原則禁止」に動き出したからだ。

吸う人は「壁の中の人」となる

 厚労省は他人の紫煙を吸わされる「受動喫煙防止策」に基づき、不特定多数の人々が出入りする施設の中でも、医療機関や学校、官公庁や社会福祉施設、競技場などは施設内を「全面禁煙」とし、飲食店やホテルなどのサービス業系の施設(=建物内)や、駅や空港などは「原則禁煙」とするという。

 つまり、壁などで完全に仕切られた空間でのみ喫煙が許される時代がくるわけだ。

 飲食店に関しては「分煙以上とすること」を義務づけた規制案の検討が開始されたが、違反した施設管理者などには「罰金」を科す方向で、今後、関係省庁と協議が進められるとか。早ければ来年の通常国会に必要な法案を提出したいと厚労省筋は考えている。

 塩崎恭久厚労相は10月14日の記者会見でこう語った。「世界保健機構(WHO)の報告によれば、日本の受動喫煙防止対策は世界で最低レベルだという。一方、罰則を伴う同対策をオリンピック開催国はみんなやっているわけです」、嫌煙家大臣の口はさらに滑らかだった。

 「そんな諸外国の常識にかんがみて、スモークフリー社会に向けて歴史的な第一歩を踏み出さないといけない」と厚労省案の意図を語り、話題は「加熱たばこ」にも及び、「加熱たばこが使われれば周囲にどういう影響があるかを厳しく見ていかなければいけない」と検討の必要性を公言した。
いまだに健康被害を「思いやり」と説くJTの<上から目線>?

 が、現場の省内関係者によれば、加熱たばこの受動喫煙被害に関する研究は、さほど進んでいないともいわれる。

 であるからなのか、たばこ対策関連の今年1月21日付の「ニコチン依存症管理料について」と題した文書で、日本たばこ産業株式会社の小泉光臣代表取締役社長はこんな見解を述べている。

 「ニコチン依存症管理料に健康保険を適用することは喫煙を病気として扱うことになりますが、その考え方を合理的に判断することは困難であり、保険を適用することは依然として疑問です」

 「ニコチンには依存性があるものの、その程度は弱いことが学術的にも社会的にも認められており、喫煙者はアルコール依存症患者等と異なり何ら支障なく通常の日常生活を送っておられます」

 これが自社CMで「マナー」を説く会社のボスの基本的な考え方らしい。同氏からはぜひ、場と主題を改めて、(加熱たばこ問題を含め)受動喫煙に関する見解を拝聴したくなるではないか。

 そもそもJT社が謳う「思いやり」という上から目線的表明にも、「健康被害」という他者への視点が欠けているように思えてならないので――。

奈良県の中学校で教諭らが校内の空き部屋を「喫煙室」として利用

 前述の嫌煙家大臣コメントから1週間と経たない10月18日、敷地内全面禁煙であるはずの奈良県大和高田市立高田中学校で、56歳の教頭を含む複数教諭らが校内の空き部屋を「喫煙室」として利用していたことが発覚した。

 1階の元教員用更衣室に、灰皿代わりのバケツとパイプ椅子、空気清浄器などを置いて、休み時間や放課後に5〜6人が喫煙利用していたという。

 同市教育委員会は2003年夏から「健康増進法」に基づき、市立学校の施設内を全面禁止としてきた。また、今年6月には同校の校長が校舎外側に置かれた灰皿を見つけて撤去していたが、件の「喫煙室」の存在と実態は、外部の指摘があるまで知らなかったようだ。

 さながらトイレで隠れて一服する中高生レベルの話だが、自ら加担していた教頭の弁は、「悪い習慣とは思っていたが、教員同士の雑談の場になっており......自分も当事者でやめられなかった」という年甲斐のなさ。

 やがて迎える2020年、この国の「おもてなし」は大丈夫なんだろうか?
(文=編集部)