発売から半年で45%の価格下落。55インチでついに10万円を切った衝撃のプライス

・LGエレクトロニクス「55UH6500」

リオ五輪前後からの液晶テレビ、特に4Kテレビの値下がりの動きは、これまでもお伝えしてきている通りだが、ここへ来て、さらに驚くべき動きが起こっている。4Kテレビでも、画面サイズが40インチ前後の製品はすでに最安価格が10万円を切っていたが、何と大型に分類される55インチの製品で、10万円を切るプライスをつけた製品が登場したのだ。それがLGエレクトロニクスの55V型4K液晶テレビ「55UH6500」である。

「55UH6500」は今年2016年4月に発売されたLGの最新モデル。3つあるシリーズラインアップの中ではボトムを担う「UH6500」シリーズに属する製品で、3D表示機能には非対応となるが、近ごろ話題の「HDR」に対応しており、独自の「IPS 4K」液晶パネルの表現力ともあいまって、HDR映像を美しく再現できるとされている。TVチューナーは2基搭載しており、裏番組のUSB HDD録画も行える。インターフェイス面では、独自の「webOS 3.0」を搭載しており、インターネットとの連携機能も充実している。

図1:「55UH6500」の最安価格推移(過去6か月)

図1:「55UH6500」の最安価格推移(過去6か月)

図1は、「価格.comトレンドサーチ」で「55UH6500」の最安価格推移を示したもの。4月の発売当初は183,469円という予価をつけていたが、6月に入った頃には12万円台まで価格が下がり、発売当初から比べると4割近く値を下げていた。ほぼ底値という状況でその後も推移していたが、8月末に12万円を割り込んで再び値を下げると、1か月ほどで11万円を割り込み、さらに10月17日に初めて10万円を割り込む99,998円という最安価格をつけた。その後いったんは11万円台を回復するが、10月23日にふたたび11万円を割り込み、翌24日には10万円を割り込んで97,998円という最安価格をつけるにいたった。10月26日時点の最安価格は99.468円(発売時より約45%の下落)。

しかも、この最安価格をつけているのは、ヤマダウェブコムやビッグカメラ.com、ヨドバシ.comなどの大手量販店が中心であることから、スポット的な特価ではないと考えられる。メーカーと販売店とがタッグを組んで行った、あくまでも戦略的な値付けと考えていいだろう。なお、10月26日時点では、これらの最安価格をつけているショップでは、当製品は品切れ状態となっており、11月上旬以降の出荷となることがアナウンスされている。

図2:「薄型テレビ」カテゴリーにおける55インチクラスの主要5製品の最安価格推移(過去3か月)

図2:「薄型テレビ」カテゴリーにおける55インチクラスの主要5製品の最安価格推移(過去3か月)

ちなみに、55インチクラスの4Kテレビの相場はどのような状況になっているのだろうか。図2は、「薄型テレビ」カテゴリーにおける55インチクラスの比較的ローエンドからミドルエンドに当たる主要5製品の最安価格推移を示したものだ。これを見るとわかるように、55インチクラスの製品は、ローエンド製品でも14万円前後、ミドルエンド製品では17〜18万円前後というのが相場となっている。元来は、「55UH6500」もローエンドクラスの価格帯で推移していたのだが、8月後半からの価格下落によって、一気に10万円を割り込み、ライバル製品と比べても4万円前後も安いという驚くべきプライスとなったわけだ。

驚きの「超特価」に消費者も素早く反応。来年にかけての各社の価格戦略に影響も?

図3:「薄型テレビ」カテゴリーにおける55インチクラスの主要5製品のアクセス推移(過去3か月)

図3:「薄型テレビ」カテゴリーにおける55インチクラスの主要5製品のアクセス推移(過去3か月)

ここまで価格が下落すれば、当然ながら消費者も鋭く反応する。図3は、上記の55インチクラス5製品のアクセス推移を示したものだが、「55UH6500」への注目度が8月後半から一気に高まり、9月中旬以降は人気モデルと並ぶほどの人気になっていることがわかる。10月も中盤以降は一気に注目度が上がり、他の製品を大きく引き離して人気となっているが、これは図1で示したように、本製品が10万円を割り込む最安価格をつけた時期と重なっている。多くの消費者が、本製品のコストパフォーマンスに気付き、反応していることがよくわかる結果だ。

図4:「薄型テレビ」カテゴリーにおける売れ筋ランキング推移(過去3か月)

図4:「薄型テレビ」カテゴリーにおける売れ筋ランキング推移(過去3か月)

もちろん、ここまで価格が安くなり、注目度も上がれば、売れないはずがない。図4は、「薄型テレビ」カテゴリーにおける人気製品トップ5の売れ筋ランキング推移を示したものだが、それまで20位圏外であった「55UH6500」のランキングが9月後半より急激に上昇しており、10月中旬以降は一気にベスト5にランクイン。その後も上昇を続け、10月26日時点では2位につけるほどの人気となっている。なお、同様の動きを見せている東芝「REGZA 49J10」であるが、こちらも約50インチという画面サイズながら8万円台を割り込むほどの最安価格をつけたことから人気を呼んでいる。10月26日時点での最安価格は、82,280円。ただし、こちらは2015年2月の発売の型落ちモデル(フルHD)であり、処分価格という意味合いが強い。こうした例はこれまでもあったが、発売からまだ半年程度の最新モデル、しかも55インチという大画面の4Kテレビが10万円を切るという例はかつてなく、市場にちょっとした衝撃をもたらしている。

本製品に対するユーザーレビューは現時点ではまだ投稿されていないが、クチコミはそれなりににぎわいを見せている。多くのユーザーが、本製品の値下がりに好意的な声を寄せており、「画質、音質は申し分ないと思いました」「価格と4K画質、実際に店頭で見て購入しました」といったように、国内メーカー製の4Kテレビと比べても、大きな違いはないとする声もある。「この価格なら」と、納得して4Kテレビ購入に踏み切る人も多そうだ。

以前もお伝えしたように、今年前半にリオ五輪を当て込んで行われた4Kテレビの販売強化策も、あまり功を奏さなかった。今年末から来年にかけては、大きなスポーツ大会などのきっかけもなく、せいぜい、4K解像度の「Ultra HD Blu-ray」が製品化されるくらいしか、4Kテレビを巡るトピックがないのが現状だ。いっぽうでテレビの4K放送開始は2018年とアナウンスされており、来年2017年は、消費者心理からすると「待ち」となる可能性も高い。そうした中で、今回行われたLGの「55UH6500」の値下げ販売が、ほかの4Kテレビの価格戦略にどういった影響を与えるのか、注視して見守りたい。


>> 4Kテレビ市場に激震! 55インチで10万円切り! LG「55UH6500」の衝撃 の元記事はこちら