連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第4週「四つ葉のクローバー」第20回 10月25日(火)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:安達もじり


20回まで来た「べっぴんさん」。女学校時代のお友達・良子(百田夏菜子)との再会は「すみれ(芳根京子)のこれからを大きく変えるものになる」とナレーション(菅野美穂)。
まだまだ変化の前で、20回も暗くてひっそり。でもそれこそ情緒があっていいと思うのだ。

まず、良子の家の中が、再会の喜びやお互いの子供への愛などよりも、戦争の闇は大きいのだと感じさせる、思い切った暗さ(照明)。
そして、すみれと良子の話し方がひっそり。
この日の「スタジオパークからこんちには」は靴屋の麻田役・市村正親で、職人でふだんそんなにたくさんしゃべらないから声を小さめにしている、というようなことを言っていて、なるほど! すみれと良子も、このように、雨漏りを器で受けているほど貧しくちいさなおうちのなかでは声を潜めてしまうものだよなあと納得した。

ささやくような声で「男の子はポケットが好きなの」なんて嬉しそうに言う良子。
落ちないように入り口狭くしている、などという手芸トークをしながら、良子のつくったものを嬉しそうに見るすみれ。
薄暗い部屋で小さな声で、ささやかな楽しみにしばし笑う姿はいとおしい。

その後、ふたりはもうひとりのお友達・君枝(土村芳)を訪ねる。
アメリカに家がとられてしまい、元・使用人の建物に住んでいるようだが、すみれと良子に比べたら、かなり良い家。だがそこで君枝は病にふせっていた。

ここで照明は自然光となりだいぶ明るくなったが、状況が暗い。
ドラマがはじまったばかりのハイカラなものが放つまばゆい明るさ、やがて戦中戦後の薄暗さ・・・と来て、これからまた徐々に日が差していくというプランで、朝ドラでできる範囲の明暗のレベルを図りながらやっているのだろう。

潔(高良健吾)とゆり(蓮佛美沙子)の家の天井の光もすてき。窓と扇風機の羽の組み合わせでニュアンスを作るのは、リドリー・スコット監督の「ブレードランナー」の換気扇を使った光の演出に近い。これに影響された照明をつくっている映画はたくさんあって、アニメだとエヴァンゲリオンにも出て来るが、「べっぴんさん」の天窓からの光を天井からさがった扇風機の羽がシャッターしていくのもなんかいい感じ。

闇市にいるいろいろな人たち(今日は托鉢僧)も細かい。すみれがいつも通る長い道が戦争から帰ってくる人たちの通り道でもあって、すみれが通るたびに、紀夫を探しているふうなのも切実で。

風景の作り方の細やかさがとってもいいなあと見ているが、暗くてしんどいと思う人もいれば、全然戦後の暗さが足りないと思うひともいるようだが、皆さんはいかがでしょうか。
(木俣冬)