5大会ぶりのU-20W杯出場権を掴んだ日本。来年の本大会ではどんな戦いを見せてくれるだろうか。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 U-19日本代表が5大会ぶりとなるU-20ワールドカップ出場を決めた。日本サッカーの地盤沈下が心配されるなか、ユース世代が長年越えられなかったハードルを、ついにクリアしたことの意義は大きい。
 
 U-20ワールドカップ出場において何より重要なのは、高いレベルでの国際経験を積めることだろう。極東に位置し、世界レベルのサッカーに直接触れる機会が限られる日本にとっては、特に貴重な場となる。
 
 リオデジャネイロ五輪で敗退した後、遠藤航が「自分たちにとっては成長した3試合だったが、世界を経験していない経験不足がこの大会で出た」と語っていたが、その不足を補うことが第一の意義である。
 
 U-19日本代表メンバーのなかでは、J1での公式戦出場経験が最も豊富な中山雄太でさえ、U-19アジア選手権について、「Jリーグにないものを持っている選手はたくさんいた。一瞬の速さでは、Jリーグでやっている日本人選手よりも速いと感じたし、自分の経験値が上がった」と話していたが、舞台が世界となれば、その比ではない。技術的には粗削りでも、度肝を抜かれるようなスピードを持った選手は世界中に数多く存在する。
 
 そうした選手の力を肌で感じることは、常に高い目標を与えてくれて、今後の成長につながることはもちろんだが、免疫をつけておくという意味でも重要だ。
 
 例えば、リオデジャネイロ五輪にオーバーエイジ枠で出場した塩谷司が、ナイジェリアに敗れた後、相手FWを評して「今までに対戦したことのないタイプだった」と話していた。だが、もし塩谷が事前に同じような経験をしていたら、どうなっていたか。つまり、国際経験がもたらす効果とはそういうことだ。
 
 これから上の世代、すなわち五輪代表やA代表にステップアップした時、海外勢と対戦しても面食らうことなく、普段どおりに自分の能力を発揮できる。そうなるための準備においても、この年代で世界を経験しておくことは大切な要素となる。
 
 とはいえ、U-20ワールドカップに出場することの意義は、実際に出場した選手のみに生まれるわけではない。
 
 個人的には、むしろこれこそがU-20ワールドカップに出場することの重要な意義だと考えているのだが、ここで出場権を獲得したことにより、来年5月開幕の本大会までの間、世代全体が刺激されるのである。
 
 今回のアジア予選には23名の選手が登録され、世界行きの切符を掴んだ。だが、彼ら全員がそのまま来年5月に韓国で開催されるU-20ワールドカップ本大会へ行けるわけではない。同世代のなかから、今後、成長してくる選手はいるだろうし、アジア予選では選ばれなかったからこそ、本番では絶対に、と目の色を変えて現有勢力に挑んでくる選手もいるはずだ。
 
 中東地域の政情不安により開催が半年以上延期された03年大会を振り返っても、当初開催予定時の登録メンバーから、実際の開催時では大きく顔ぶれが入れ替わった。伸び盛りの選手は短い期間でも大きく成長する。そこに世界の舞台に立てるというニンジンがぶら下がっていればなお、競争はレベルの高いものになる。
 
「世界に出たらいい経験になるし、自分の成長に絶対つながる。来年に向けて自分のなかで目標もできるし、それがまた、自分が頑張る糧になる」
 
 先日の準々決勝タジキスタン戦を前に、藤谷壮がそんなことを話してくれたが、まさにその通りだろう。
 
 特に19、20歳の選手の場合、所属クラブで出番を得られず、悶々とした日々を過ごすことが少なくない。そんな選手も含め、世代全体に「自分が頑張る糧」を与えてくれるという点において、U-20ワールドカップ出場は非常に大きな意義があるのだ。
 
 U-20ワールドカップに出場することは、育成年代の強化における、あまりに重要なワンステップ。やはり、絶対に出なければいけない大会なのである。
 
取材・文:浅田真樹(スポーツライター)