鮭は内臓まで食べると心臓にいい

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鮭の胃から抽出したホルモン「グレリン」をマウスに食べさせると心臓病の予防効果があることを、東海大学札幌キャンパス生物学部の木原稔教授らの研究チームが突き止め、米の食品科学専門誌「Journal of Science」(電子版)の2016年10月19日号に発表した。

グレリンに心臓病予防効果があることはわかっていたが、従来の研究は人工合成物のグレリンだけで行なわれてきた。魚類の天然グレリンにも効果が確認されたのは世界初という。大量に捨てられている鮭の内臓を有効活用するうえでも画期的な発見だ。

お酒を入れた水で洗い、塩焼きにするとうまい

東海大学の発表資料によると、グレリンは魚類や哺乳類など脊椎動物の胃から分泌されるホルモンで、食欲促進、体重増加、成長ホルモンの分泌、消化機能の調節などエネルギー代謝に関する重要な役割を担っている。また、グレリンは自律神経の異常を改善し心臓の働きを良くする作用があることが数年前にわかり、心臓病の新しい治療薬としての研究が進んでいる。ところが、動物実験などに使われているのは人工合成物のグレリンだけだった。

木原教授らは、北海道各地の水産物加工場で産業廃棄物として捨てられる鮭の内臓に着目した。鮭の胃から抽出したグレリンを10%含むエサと、普通のエサをマウスに4週間与え、心不全を誘発する薬を注射した。その後4週間観察すると、普通のエサのグループは約40%が死んだが、グレリン入りのエサを食べたマウスは1匹も死ななかった。心電図や血液中の心臓病誘因データを分析すると、心不全が抑制されたことが確認された。

木原教授は、発表資料の中で、「魚由来のグレリンにも心臓病を予防する効果が認められたのは世界で初めてです。魚の内臓は日々、大量に捨てられていますが、新薬の材料になるだけではなく、心臓病予防に有効な食品素材として活用につながる成果です」とコメントしている。

さて、鮭の胃はどうやって食べると美味しいだろうか。北海道の水産物・海産物の飲食店用食材仕入れサイト「さかなだマートPRO」の中の「鮭の内臓料理」のコーナーを見ると、胃の料理はこうするとうまいようだ。まず鮭のお腹を開き、内臓を切り分けたあと――。

「鮭の胃は、(細長いので)端から縦に包丁を入れ、開きます。包丁の背で内側の粘りをこそげ取ります。そのあと、お酒を少し入れた水でしっかり洗い、塩こしょうして塩焼きにします」