プーチンとラウル・カストロ photo via kremlin.ru(CC BY 4.0)

写真拡大

 2014年7月にプーチン大統領がキューバを訪問して以来、ロシアはキューバに軍事基地の建設を強く望んでいる。同年5月にはラウル・カストロ評議会議長の息子のアレハンドゥロ・カストロ大佐が<ロシア連邦安全保障会議とキューバ国家安全防衛委員会との協力関係の合意に署名>した。そして、2015年5月にはロシア対外情報庁(CBP)のナルイシキン長官がキューバを訪問し、<カストロ評議会議長に集団安全保障条約機構(OSTO)への加盟を勧めた>という。(参照:『Deutsche Welle』)

 ロシアは着々とキューバをロシア陣営に組み入れる動きを開始している。

 一方の米国はオバマ大統領がキューバとの国交回復に動きを開始したのは2013年である。バチカンの協力を得て、両国の和解に向かって秘密裏に米国とキューバの高官の間で交渉が進められていた。さらに2014年12月に正式に両国の間で国交正常化に向けてオバマ大統領とカストロ議長はそれぞれ自国民に国交回復に向かっていることが伝えられた。そして遂に、2015年7月に両国の国交が回復した。現在も定期的に完全なる関係回復に向けて交渉が重ねられている。その中で、キューバは<半世紀に及ぶ封鎖による損害として46億8000万ドル(4680億円)の賠償も米国に請求>している。(参照:『HispanTV』)

◆キューバの台所事情

 米ロ両国とも交渉の進展は時間を要している。その理由は、キューバの指導者層にとって米国との関係発展はカストロ兄弟がリーダとなって築き上げた社会体制が崩れることを意味するからである。キューバ革命のリーダーであったフィデル・カストロは今も内心は米国そしてヨーロッパとの関係回復には関心が薄いという。何故なら、かつて彼らがキューバ革命の発展を阻止しようとしたからである。

 しかし現在、キューバの進展は大きな壁に突き当たっている。社会主義体制による生産力の後退と官僚組織の硬直化で国家経済は行き詰まっている。ベネズエラがチャベス政権下で価格の高い原油を販売して経済発展していた時は、キューバにとってベネズエラは救世主であった。2003年頃からベネズエラはキューバに日毎10万5000バレルの原油を提供していた。しかも、特別安価で支払いも優遇されていた。しかし、最近の原油安でベネズエラの経済は破綻寸前だ。ベネズエラからの日毎の供給は8万バレル以下に落ち込んでいると見られている。この減少分を他からの輸入に仰がねばならない状況にある。キューバは自国で原油を採油してはいるが、それは国内需要の40%を補えるだけの産出量だという。その影響でキューバでは原油の消費制限が実施されている。(参照:『Diario de Cuba』)

 最近、石油会社MEOオーストラリアがキューバのマタンザス県の北側の沖合2000〜3500mの海底に80億バレル分の原油の鉱床を発見し、採取が2018年から予定されているが、それも当面キューバの国内需要を補う程度だという。(参照:『Publico』)

 キューバの深刻な原油不足を補うべく、キューバと友好関係にあるアルジェリアが10月に51万5000バレルをキューバに輸送することになっている。更に、11月か12月にも発送が予定されているという。(参照:『Diario Las Americas』)

 しかし、この供給も一時的に需要不足を補うだけである。キューバが求めているのは安定した供給先である。しかも、価格と支払い面で優遇した条件で提供できる相手である。

◆切り札を握る「ロシア」

 キューバにとって、それを期待できる相手は一か国しかない。ロシアである。9月にラウル・カストロ議長がロシアに原油の供給とそれに関連した商品の供給をロシアに正式に要請したということが公にされた。しかも、その要請には価格と支払い条件がキューバにとって容易であることというのが付け加えられたとされている。その要請の中で、キューバ政府は契約すれば支払い条件は必ず満たすと保障したという。これについては、ロシア経済省はエネルギー庁にキューバの支払い能力には非常に危険性が高いと伝えたという。(参照:『HispanTV』)