写真提供:マイナビニュース

写真拡大

産業技術総合研究所(産総研)は10月25日、ケイ素化学の基幹原料である「テトラアルコキシシラン」を、砂や植物燃焼灰、産業副産物などから従来よりも短時間に高効率で直接合成する技術を開発したと発表した。

同成果は、産総研触媒化学融合研究センター触媒固定化設計チーム 深谷訓久主任研究員、崔準哲研究チーム長、佐藤一彦研究センター長、同化学プロセス研究部門化学システムグループ 片岡蘒主任研究員、Nguyen Thuy研究員、コルコートらの研究グループによるもの。

テトラアルコキシシランは、ケイ素原子にアルコキシ基が4つ結合したケイ素化合物で、セラミックスや電子デバイス用の保護膜・絶縁膜の原料として利用されているほか、シリコーンをはじめとするさまざまな有機ケイ素材料の原料としても有望である。現在、テトラアルコキシシランの製造では中間原料として金属ケイ素を経由する必要があるが、シリカ(二酸化ケイ素)が主成分であるケイ石の還元反応を大量の電気エネルギーを用いて高温で行う必要があるため、エネルギーを多く消費し、高コストとなることが課題となっている。

シリカから直接テトラアルコキシシランを収率良く合成するためには、アルコールとの反応によって副生する水を反応系から除去する必要がある。砂や灰などの反応性の低いさまざまなケイ素源を活用するためには、高い効率で反応系から水を除去できる脱水剤が必要であり、さらに製造プロセスの低コスト化のためには、脱水剤は反応終了後に目的物であるテトラアルコキシシランから容易に分離でき、回収・再利用が可能であることが望まれる。

今回、同研究グループは、シリカを含有する原料とエタノールに、触媒として少量の水酸化カリウム、脱水剤として固体状無機物質であるモレキュラーシーブを加えて加熱し反応させた。この結果、珪質頁岩を粉砕した砂では、含有するシリカに対して51%の収率でテトラエトキシシランが反応時間3時間で生成した。またシリカを多く含むもみ殻の灰を原料とした反応における収率は78%、合成石英製造時の産業副生成物を原料とすると収率は72%となった。

脱水材であるモレキュラーシーブは、ケイ素源に含まれる不純物の影響を受けにくいため、シリカ純度の高くない天然のケイ素源を用いても高収率にテトラアルコキシシランを合成することができるうえ、固体状であるため、反応後には容易に回収して、加熱や減圧で再生して繰り返し使用することも可能。

産総研は今後、反応条件や触媒の改良とともに、化学工学的な視点から反応プロセス全体を最適化していくとしている。また、スケールアップなどの事業化に必要な技術課題の解決をコルコートと共同で取り組み、数年後の実用化を目指すという。

(周藤瞳美)