「チャレンジには良い若手選手がたくさんいるけど、“ワダ”っていう選手もおもしれーなと」。今季、自身のキャリアで初めて本格的に国内男子ツアー下部チャレンジトーナメントに参戦し47歳にして賞金王に輝いた塚田好宣が気になる名前を挙げた。

おもしれー選手“ワダ”とは、塚田と同じく今季チャレンジトーナメントを主戦場とした和田章太郎のこと。福岡県出身1996年生まれの20歳は、今季チャレンジトーナメント「LANDIC CHALLENGE 2016」で下部ツアー初優勝を達成するなど賞金ランク5位に入って来季レギュラーツアー前半戦の出場権をつかんだ。
その和田が、今季国内のみならずとある海外で着実な成果を残しているのをご存知だろうか。
PGAツアーが中国ゴルフ協会、中国オリンピック・スポーツインダストリーと共同で2014年に中国で発足させた「PGAツアーチャイナ」がその舞台。PGAツアー、Web.comツアーに続くいわば3軍組織ながら、今季は中国、香港などを舞台に13試合を開催。シーズンの賞金ランキング1位から5位までには翌年の米PGA下部のWeb.comツアーの出場権、6位から10位までの選手にはWeb.comツアーのファイナルQT出場資格が与えられるアジアから世界へと通じる道だ。もちろんWeb.comツアーの先には松山英樹らが主戦場とするPGAツアーがある。
将来の海外挑戦を夢見る20歳は、今季の国内ツアーQTに失敗して国内試合の出場が限られると見るや、海の向こうに目を向けた。「伊藤誠道さんが行って強くなったと言っていたので、それで受けてみたいなと思った」と、1月に行われたQTに単身参加して見事通過。現在4試合を残して賞金ランキング28位につけている。ちなみに、賞金シードは50位以内。加えて、30位以内の選手には同じPGAツアー下部ローカルツアーであるPGAツアーカナダ、PGAツアーラテンアメリカなどへの出場資格も与えられる。
ツアーの実態は、もちろん今週中国で開催されるアジア最大のゴルフイベント「WGC-HSBCチャンピオンズ」とは比ぶべくもないが、「PGAがバックアップしているだけあって試合はしっかりしていますね。コースもきれいだしギャラリーも最終組に近くなればしっかりいます。賞金はチャレンジトーナメントの倍くらい(全試合賞金総額120万元※約1,850万円)」。ちなみに、毎試合キャデラックなどのスポンサーがついており、副賞も充実しているという。「レベルはWeb.comに出てた選手がいるので一部の層は厚いけど、下は緩い。だいたい賞金ランキング10位以内くらいのレベルが高い」。
ただ、やはりというか、なんというか。ゴルフ場外の環境面はなかなか馴染めるものではないようだ。
和田が味わった「QTの時にいきなりスーツケースにでっかい穴が開いていて。2か所ですよ?ちゃんとしたスーツケースだったのに…」という不運はまだ序の口。「ちょっと慣れた頃に日本人選手みんなで街に行って、イカの串焼きみたいの食べて、みんなでお腹壊しました。おいしかったんですけど…」と海外での転戦では定番とも言える食事の試練もしっかりある。
それでも、経験という面ではそのすべてが日本では得難いものばかり。「ある試合では昆明っていうめちゃくちゃ田舎から、北京経由で次の会場まで全部で7時間くらいかかりました」という過酷な移動は、マイナーリーガーさながら。「ギャラリーのマナーは悪くて、携帯電話が鳴って、日本なら切るけど中国ではそのままでて話し始めちゃう(笑)。それが当たり前になって、逆にこっち(日本)でアドレスで音がしてもそんなに気にならなくなった。気持ちが強くなりましたね」なんていうウソのようなホントの話もある。
ちなみに2,500円から3,000円程度でつける地元キャディは「普通の素人です。たまにラインもちゃんと読める人もいるんですけど、基本的にはバッグの持ち方も分からない人が多い」と基本的にはすべて自分の力で何とかするしかない。その他にも異国の地を一人で転戦する苦労は推して知るべしだが、こうした積み重ねが精神的なタフネスにつながっていく。というのはちょっと強引だろうか。
「行けるなら絶対に行った方がいいと思う。気持ちの部分もコースも全然違う。アメリカみたいな広いコースもあれば、ポットバンカーとブッシュだらけのイギリスみたいなコースもある。いろいろな芝もあるし、技術面でも成長できる場。行くまでは大変だけど、行ったら得るものしかない」。
和田は来季のレギュラーツアー前半の出場権を得たことで来季は日本ツアーに専念することとなるが、中国での挑戦はまだ終わっていない。「クリアウォーターベイ・オープン(11月4日〜7日)」から最終戦「ビュイックオープン(11月24日〜27日)」の4連戦で賞金ランク上位に食い込むことができれば、Web.comツアーへの道も開ける。
「10位以内に入ればチャンスあるので、最後の4連戦で何とか上に行きたい」。どこまでも前向きに自らのステージを切り開いていく20歳に、日本ゴルフ界が学ぶべき点も多くありそうである。
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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