横浜スタジアム(「Wikipedia」より)

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 9月20日の東京株式市場で、ディー・エヌ・エー(DeNA)の株価が大幅続伸した。終値は前週末比240円(6.7%)高の3820円と、東京証券取引所1部の値上がり率の上位に入った。9月18日に、横浜DeNAベイスターズが球団史上初のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めたことが買い材料となった。

 CSファイナルステージで広島東洋カープに敗れたものの、今シーズンの観客動員数は球団史上最多となる193万人を記録。DeNAのスポーツ事業の通期での黒字転換に関心が集まる。

●球団は通期で初の黒字化へ

 ベイスターズは赤字経営が続いた。2015年3月期のスポーツ事業(プロ野球)の売上高に相当する売上収益は78億円で、営業損益は14億円の赤字。16年同期の売上収益は99億円と前期比27%増えたが、営業段階では10億円の赤字が続いた。

 試合がある4〜9月しか稼げないためオフシーズンは赤字になり、通期では赤字が膨らむ。これがプロ野球球団経営の通常のパターンだ。ところが、今期は通期で黒字転換への期待が高まる。

 DeNA本体の16年4〜6月期連結決算(国際会計基準)で、売り上げは1%増の382億円。純利益は前年同期比2.5倍の51億円だった。主力のゲーム事業は振るわなかったが、スポーツ事業で球場の観客動員数が増え、これが利益を押し上げた。

 1月に横浜スタジアムを連結子会社にした効果が出た。ベイスターズが主催する試合の入場者数が増え、スポーツ事業の営業利益は18億円とほぼ倍増した。DeNA全体の営業利益は73億円と83%増えた。

 7〜9月期のスポーツ事業の売り上げは前年同期比47%増の59億円、営業利益は70%増の17億円を見込んでいる。CSに進出したことで、さらに追い風が吹きそうだ。

 オフシーズンにあたる第3四半期(10〜12月)と第4四半期(17年1〜3月)の赤字幅が前年並みに収まると、通期のスポーツ事業は営業段階で初めて黒字に転換する。

●横浜スタジアムをボールパークに

 ベイスターズは16年1月28日、横浜スタジアムの運営会社を子会社にした。運営会社の株式公開買い付け(TOB)で総株式の71.12%を総額74億2500万円で取得した。

 池田純球団社長は「夢の横浜スタジアム(ハマスタ)」を目指し、大規模な改修計画を打ち出した。メジャーリーグの球場のようなボールパークを目指す。ボールパークとは、球場全体がひとつのエンターテイントメント空間となることだ。野球を観るだけでなく、アトラクションやホスピタリティ(癒しの空間)を兼ねる。

 球団は、4年前から米大リーグ(MLB)を中心に70以上のスタジアムを視察。球場に隣接するビルから観戦できる大リーグ、シカゴ・カブスの本拠地のリグレイ・フィールドをまねて、外野席の後ろにビルを建て、屋上でバーベキューを楽しめる飲食スペースを設ける構想を持っている。

 ビルの外壁は横浜の赤レンガ街に溶け込めるように赤レンガとする。港町・横浜の景観に溶け込んだボールパークをつくるつもりだ。

 DeNAが横浜スタジアムを連結子会社にしたのは、球場と球団の一体運営が黒字への近道と考えたからだ。

 横浜スタジアムの16年1月期の売上高は39億6300万円、営業利益は4億3800万円、純利益は4億4400万円。純資産は150億4900万円で自己資本比率は98.25%に達する。こんな優良会社をDeNAは74億2500万円で買収したのだから、「安い買い物」(アナリスト)だった。今期は、横浜スタジアムの業績がDeNAの連結決算に上乗せされる。スタジアムの広告収入、飲食店、グッズの売り上げ、野球以外の興行による収入を取り込める。

 座席を球団のカラーのブルーで統一し、球場内の飲食店も見直した。耐震補強を含め、一連の設備投資額は数十億円に達したが、それでもオツリがくる絶好調ぶりなのだ。

●池田球団社長が退任へ

 球団躍進の立役者である池田氏が任期満了に伴い、今シーズン限りで退任した。池田氏は北海道生まれ。早稲田大学から住友商事、博報堂を経て07年にDeNAに入社。09年に執行役員マーケティングコミュニケーション室長に就いた。ベイスターズの買収に伴い、11年12月、12球団中最年少の35歳で社長に就任した。

 池田氏は親会社でマーケティングを担当していたこともあって1年目に徹底したマーケティングを実施し、多くのファンを獲得した。11年に110万人だった観客動員数は今季、球団史上最多となる193万人超を達成。また、球団初の外国人指揮官となるラミレス氏を監督に招聘し、初めてCS進出を果たした。池田氏の後任社長がハマスタのボールパーク構想の実現に向けて邁進することになる。
(文=編集部)