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 二次診療専門の動物病院が成長を続けている。二次診療とは、飼い主の「かかりつけ医」(一次診療施設)から紹介を受けて行う診察のことである。

 二次診療専門の動物病院のひとつであり、2015年3月26日に動物病院として日本で初めて上場を果たしたことでも話題になった「日本動物高度医療センター」は、“動物と人間との絆「ヒューマン・アニマル・ボンド」が叫ばれる中、動物も家族の一員であり、人間と同じように放射線治療装置やMRI、CTなどの先進医療設備を備えた施設で専門知識と経験を持った獣医師に診療してもらいたいというニーズが、飼い主の間で年々高まっています。”としている。(参照:有価証券報告書)

 犬や猫の平均寿命が伸びてきていることも、二次診療専門の動物病院の成長の要因となっている。2016年9月、東京農工大と日本小動物獣医師会の大規模調査によると、日本でペットとして飼育される犬と猫の平均寿命が2014年時点で、13.2歳と11.9歳でそれぞれ過去最高だったことが分かったと報道された。25年間で、犬は1.5倍、猫は2.3倍に延びたとしている。ワクチン接種の普及などで感染症対策が進んだことなどが理由として挙げられている。室外で飼うよりも室内飼いの方が、平均寿命が長いという結果も得られている。近年、室内買いが増えていることも長寿命化の要因のひとつである。(参照:毎日新聞)

 医療環境の改善が長寿命化に貢献したとしているが、長寿命になったためにこれまで症例の少なかった長寿命特有の病気が増え、それを治療するための高度な医療に対するニーズが増加していると言えよう。

◆ニーズが高まる一方で供給が少ない「動物向け高度医療」

 とはいえ、二次診療専門の動物病院は、数としては、まだ少ないのが現状である。月間30万人が訪れる日本最大級の動物病院口コミ検索サイト「Calooペット」などで検索してみても、二次診療専門の動物病院としてヒットするのは25件に過ぎない。東京都6件、北海道および神奈川県3件、埼玉県および大阪府2件で、青森県、岩手県、新潟県、岐阜県、愛知県、鳥取県、山口県、宮崎県、鹿児島県がそれぞれ1件である。

 ちなみに、東京都6件とは、日本獣医生命科学大学動物医療センター、東京農工大学動物医療センター、東京大学附属動物医療センター、どうぶつ眼科EyeVet 、アニマルアイケア・東京動物眼科醫院、犬と猫の皮膚科。

 獣医科大学付属病院が二次診療専門の動物病院となるケースもあるが、二次診療専門の動物病院に関して、需給ギャップは大きく、需要に対して、供給が足りていないのが現状である。

◆急成長を遂げた「日本動物高度医療センター」

 そんな背景を受けて急成長してきたのが、前述した2015年3月にマザーズ上場を果たした「日本動物高度医療センター」(Japan Animal Referral Medical Center: JARMeC)だ。

 2005年に神奈川県川崎市に設立されて、2007年に同市内に本院を開業して以来、8年間で上場を果たすまでに急成長してきた。同センターは、高度な疾病を治療するための2次診療専門の動物病院という位置づけを標榜しており、同社と連結子会社の株式会社キャミック、JCアライアンス株式会社の3社で構成される。株式会社キャミックは、画像診断サービスを行い、JCアライアンス株式会社は、動物医療関連の物品販売やITインフラ整備の支援等を行っている。

 また、動物医療界において「臨床や教育現場で活躍する人材の教育」の環境を整え、「動物医療技術の向上を担う臨床研究」にチャレンジし、地域の連携病院と協力して「高度医療(二次診療)」を提供することも目的にしているという。

「日本動物高度医療センター」は、一次診療施設からの紹介を受け、特定の専門分野を持った獣医師が、高度な医療機器を使用して、診察、検査、投薬、手術等の診療サービスを行う。サービスの提供を行った際に飼い主から診療費を受け取り、一次診療施設からは紹介料等は受け取らない。診療の途中経過及び結果を一次診療施設にフィードバックし、術後のケアや継続治療は一次診療施設で行ってもらう。

 2016年6月末現在、「日本動物高度医療センター」と「連携病院の覚書」を締結した一次診療施設は全国に3118病院。二次診療を川崎本院(神奈川県川崎市)と名古屋分院(愛知県名古屋市)において行っている。

◆人間ドックなみの施設

「日本動物高度医療センター」が取り扱う二次診療の診療科は、循環器科、呼吸器科、消化器科、泌尿生殖器科、腫瘍科、放射線/画像診断科、麻酔科/手術部、脳神経科、整形科、眼科、カウンセリング/理学療法科である。放射線治療装置、PEC-CT、MRI、X線TVシステム、超音波診断装置など、人間ドック並みの施設を備えている。(参照:「成長可能性に関する説明資料)

 ペットの長寿命化に伴う高度な医療ニーズ増加や、ペット保険市場が整備され成長していることを受けても、さて、二次診療専門の動物病院は今後成長を続けていく可能性が高い。

<文/丹羽唯一朗>