東京商工リサーチは、10月25日に東証1部に株式上場した九州旅客鉄道(株)(TSR企業コード:870264311、法人番号:6290001012621、本社福岡市、以下、JR九州)とグループ各社(以下、JR九州グループ)の取引状況を調査した。
 JR九州グループと直接取引のある1次取引先は全国で1,300社(1次仕入先1,149社、1次販売先151社)に及ぶことがわかった。本社所在地では九州が1,045社(1次仕入先931社、1次販売先114社)と、全体の8割(構成80.3%)を占めた。都道府県別では、福岡県が589社(1次仕入先520社、1次販売先69社)で最多だった。JR九州の新規上場は、鉄道以外への事業拡大にも追い風となり、九州各県の地域活性化にも大きな波及効果が期待される。
 また、JR九州グループの1次仕入先1,149社の総従業員数は36万4,927人、2次仕入先3,860社も同281万9,653人に達し、総従業員数は延べ318万人と雇用面での寄与が大きいことがわかった。
 JR九州グループの1次仕入先1,149社のうち、従業員数が50人未満は903社(構成比78.5%)と約8割を占めた。JR九州グループの直接取引先は中小企業が多いだけに、上場による事業多角化が本格的に浸透すると地元企業の業績にも直結し、地域経済の浮揚をけん引する可能性も高い。


  • JR九州とグループの仕入先、販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分類、企業情報サービス「tsr-van2」の企業相関図を活用し、業種や地区、規模などを集計、分析した。
  • 1次取引先は直接取引のある取引先。2次取引先は、1次取引先と直接取引がある間接取引先を示す。
  • JR九州グループは、JR九州と同社の株式売出届出目論見書(2016年9月15日提出)の「関係会社の状況」に国内の連結子会社と記載された合計36社。

産業別 1次仕入先の最多は建設業

 JR九州グループと直接取引のある1次仕入先は1,149社だった。産業別では、建設業が468社(構成比40.7%)と約4割を占めた。線路、架線などの保守工事や施設工事を中心に、鉄道事業での取引が中心とみられる。次いで、卸売業が190社(同16.5%)、サービス業他が188社(同16.3%)、製造業が174社(同15.1%)の順だった。
 一方、1次販売先は151社だった。最多は旅行業などのサービス業他の69社(同45.7%)。次いで、建設業が30社(同19.8%)、運輸業が15社(同9.9%)、小売業が10社(同6.6%)と続く。

産業別 JR九州グループ国内取引先

業種別 1次仕入先の最多は土木工事、1次販売先は旅行業がトップ

 JR九州グループの1次仕入先(1,149社)の業種別では、最多が土木工事業の135社だった。次いで、一般電気工事業(50社)、建築工事業(47社)、とび工事業(37社)などの施設保守関連業種が上位を占めた。
 1次販売先(151社)の業種別では、最も多かったのが旅行業(19社)だった。次に、旅行業者代理業(15社)、土木工事(13社)と続く。このほか、広告業と普通鉄道業が各7社など。

従業員数別 1次仕入先では50人未満が約8割を占める

 JR九州グループの1次仕入先(1,149社)を従業員規模別でみると、50名未満が903社(構成比78.5%)と約8割を占めた。これを含め100名未満は995社(同86.5%)で、圧倒的に中小企業が占めていることがわかった。

地区別 地元の九州が8割を占める

 JR九州グループの1次仕入先(1,149社)の本社所在地ではJR九州グループ各社が本社を置く福岡県が520社で最も多く、次いで、東京都の124社など。取引先が九州に集中しているが、北海道や関東圏、岡山県・広島県・香川県など全国にも所在し、取引の幅広さがうかがえる。

地区別 JR九州グループ国内取引先


 JR九州は2011年3月に九州新幹線が開通し、さらに長崎県までの西九州ルートも建設中で、鉄道事業の利便性を高めている。その一方、事業の多角化も進めており、1996年にジェイアール九州フードサービス(株)(現・JR九州フードサービス(株))を設立し、「うまや」などの屋号で飲食事業へ参入。2007年には薬局チェーンを運営する(株)ドラッグイレブン(現:JR九州ドラッグイレブン(株))を買収した。さらに、2014年8月にJR九州ホテルズ(株)が都内初のビジネスホテル「ブラッサム新宿」を開業するなど、九州にとどまらず脱「鉄道事業」でも事業展開を本格的に図っている。
 今回の調査でJR九州グループの取引先は九州を中心に全国に及んでいることがわかった。大半が中小規模で、JRグループへの依存度も様々だ。ただ、各地の「駅」は地域の核として圧倒的な集客力を誇っている。それだけに株式上場を機に、幅広い業種へ事業多角化を進め、地域経済の活性化と共存共栄をけん引する企業としての発展が求められている。