小平、意識の高さを感じさせる勝利だった(撮影:標英俊)

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●小平智に感じたショット力以上のもの
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 「ブリヂストンオープン」では今季2度目のJGTOセッティングアドバイザーとして、4日間ピン位置を決めました。袖ヶ浦カンツリークラブ・袖ヶ浦コースのグリーンはマウンドが少なくわりと平坦。良いショットと悪いショットの差をつけるために、天気予報とにらめっこしながらグリーンの四隅に切ることが多かったです。やはり上位に入った選手たちは“楽なサイド”にきちんとつけていましたね。日ごとにグリーンは硬くなっていったので、次第に実力の差が出たと思います。
 その中で優勝した小平智選手の勝因は一言でいえばショット力でした。しかし、今回テレビのラウンドレポーターとして彼の組について、ショット力以上に勝負に対する意識の高さを感じました。
 最終日は風も強く、グリーンのコンパクションも上がり本当に難しいコンディションでした。小平くんはその中で非常に内容のいいゴルフをしていました。精神的にも落ち着いていました。勝負が決まったなと思ったのは16番パー5で彼のセカンドショットがグリーンに乗った時。そこでバーディを奪い、彼が勝つなと確信しました。
 でも、ボクが本当にすごいなと思ったのは9番パー5のバーディ。そこまで1バーディ・ノーボギー。難しい状況なのは本人も分かっていて、いい感じできているなと思っていたことでしょう。風がフォローだったので彼ならティショットをフェアウェイに置けば、十分に2オンが狙えます。バーディ、またはイーグルが計算できるホールです。
 ティショットは強振したのですがボールは右へ。林に入ってしまいました。セカンドは低く出そうとしたら木に当たって、思ったよりもあまり前に進みませんでした。3打目は192ヤード残りました。ピンは右手前で風は強烈なフォロー、グリーンを外したらボギーがきそうな感じがありました。ティショット、セカンドと続けてミス。ここはパーでもいいかと思う場面ですが彼は違った。3打目を約5メートルにつけて、バーディを奪ったのです。
●先週の松山英樹とのラウンドが刺激に
 このホールは18番に隣接していて、グリーンに上がる際にボードが見えます。その時はキョンテと2打差がついてました。彼ははっきりとそれを見た上で、バーディパットを入れました。スコアを伸ばす算段ができるホールでボギーにしたらかなり流れが悪くなるなと思って見ていましたが、ミスが続いた中でもバーディを奪取。凄いな、と思いました。
 最終日は風が強くてスコアを落とす選手も多かったのですが、じっとしていれば上が落ちてくるかもという感じではなく、自分からどんどん行こうという強い姿勢を感じました。優勝できなかったり、してない選手からは“一歩前に行かない”印象を受けます。彼にはそういう感じがなかったですね。
 思えば朝から気合が入っていました。オナーのホールが多かったこともありますが、ティグラウンドから1番で歩いていって、他の選手との会話ほとんどなくずっと組の先頭を歩いていくんですよ。それは最後まで変わりませんでした。彼のキャディにいつもあんなに歩くのか聞いてみたのですが、「いつも速めですけど、今日は一段と速いというか気合が入ってる感じですね」。歩く姿からも、アグレッシブさが溢れていました。
 本当に“強いゴルフ”でした。先週の日本オープンで松山君と回りいい刺激を受けたのでしょう。あの領域に早く行きたい、という強い思いがプレーにも表れていました。意識の高さが随所で感じられましたし、風の中で上手い、ショットが切れているといった技術以上の“凄み”を見せてもらいました。

・佐藤信人
1970年3月12日生まれ。千葉県出身。薬園台高校卒業後に渡米、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。1993年に帰国しプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝を挙げた。ツアー通算9勝。現在はゴルフ雑誌やテレビの解説で幅広く活躍している。趣味は旅行と読書
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【ブリヂストンオープン 編】