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日立製作所は10月24日、専用装置を使わずに、スマートフォンに標準搭載されているカメラを用いて高精度な指静脈認証を実現する技術を開発したと発表した。

記者説明会では、研究開発グループ テクノロジーイノベーション統括本部 システムイノベーションセンタ センタ長の池田尚司氏が、「Finechが話題になっているが、スマートフォンでサービスが利用できるなど、ITを活用した金融サービスの提供が増えている。また、ネットショッピングや飛行機のオンライン予約でもスマートフォンの利用が可能になってきている。こうした中、専用の装置ではなく、利用者の手持ちのスマートフォンを用いて、安心かつ安全に利用できる認証の仕組みが求められている」と、スマートフォンによる指静脈認証の必要性を語った。

池田氏はオンラインバンキングでスマートフォンによる認証サービスが求められる背景については「現在、オンラインバンキングでは、厳密な認証を行うため、ワンタイムパスワードが利用されているが、サービスを提供する銀行とサービス利用する顧客の双方に負担を強いている。スマートフォンによる指静脈認証を導入することで、こうした課題を解決できる可能性がある」と説明した。

技術についての説明は、研究開発グループ テクノロジーイノベーション統括本部 システムイノベーションセンタ 主任研究員の三浦直人氏が行った。

三浦氏は、「モバイル認証では、利便性、安全性、精度が求められる。そのため今回、指をスマートフォンにかざすだけで実施できる高精度の指静脈認証技術を実現することを開発指針としていた」と述べた。

生体認証には、指静脈のほかに、指紋、虹彩、顔を用いる方式があるが、指静脈認証は生体の特徴を示すパターンが体内にあるため、永続性、秘匿性、操作性において指静脈が最もすぐれている。

今回、専用装置を使わずに、スマートフォンに標準で搭載されたカメラにより認証を行うため、「カラーカメラの撮影画像(色情報)から指の静脈パターンを安定的に抽出する画像処理技術」と「かざした複数の指の位置を正確に検出して高精度で認証する技術」が開発された。

指の静脈パターンを抽出する技術においては、「指の平均色」「静脈の色」「しわの色」といった色の違い、つまりRRGBの色情報を考慮して、画素ごとに静脈らしさを計算する。「静脈は平均より赤が弱く、しわは平均より赤が強く暗い」と三浦氏。

三浦氏によると、プロトタイプでは4本の指の静脈パターンを抽出することで、認証の精度を高めている。2本以上でパターンが一致すれば、認証を受理するといった仕組みになっている。また、色と形の学習により、背景を分離して、指の曲がった状態などを正規化する。これにより、かざし方の自由度が高まるという。

12人のデータに基づき、約1000回の本人認証試行、約1万5000回の他人認証試行をした結果、いずれも「本人拒否」「他人の受け入れ」がなく、エラーが発生しなかったとのことだ。

三浦氏はこの実験の結果を踏まえ、スマートフォンのカメラを用いて高精度な指静脈による認証が実現できる見通しを得たとして、今後、製品化を進めていくと語った。