打ちだしはまっすぐ このライン読みは自信があるからこそできること!(撮影:福田文平)

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 全美貞(韓国)の優勝で幕を閉じた「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」。全は首位と4打差で最終日を迎えると、“65”を叩きだして笠りつ子、鈴木愛という現在好調の日本人2人を華麗に逆転。「サマンサタバサレディース」以来となる今季2勝目を挙げた。2013年の3月から勝ち星に恵まれず「もうゴルフを辞めたい」と思うこともあった2012年の賞金女王がここまで復活した要因を上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が語った。
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■自信に満ち溢れているパッティングが好調の秘訣
サマンサ-を優勝して以降、「CAT Ladies」「マンシングウェアレディース」で2位に入るなど何度も上位に顔を出している。本人としては『スイングなどを大きく変えたわけでないんです。勝ったことで自信を持ってプレーできていることが成績が良くなった理由だと思う』と話している。その自信がプレーに如実に表れているのが平均パット数4位のパッティングだ。
「彼女のパットは打ちだしてからまっすぐ飛んでいる(コロがっている)時間が長いのが特徴です。鈴木愛選手もそうですが、パターに自信を持っている選手はまずストレートでラインを読みます。そこからどうしても傾斜に勝てない時だけ曲がり幅を考えます。これは自信があるからできること。しっかりと入るイメージが沸いているからこそ直線的なイメージで攻めていけるのです。対して自信のない人は曲がり幅から見てしまいます。そうやってカーブを描くということは、結局カーブのストローク、つまりゆるんだストロークをすることにつながってしまっているのです(辻村氏)」
最後に頭一つ抜け出した17番のバーディパットは9メートル。砂の混じった多い重たいグリーンに多くの選手が苦戦する中、長い距離でもストレートでラインを読んでしっかりと打ちだせるからこそロングパットを決められたのだ。
「アマチュアの方に真似していただきたいのはアドレスです。彼女は振り子のようにパッティングをするタイプですが、構えたときに鼻っ柱、おへそ、グリップ、そしてパターのヘッドが一直線上にあります。しっかりと中心線が描かれていて、振り子の支点がある。この振り子運動ができるからフェース面が大きく動くことなく、安定したストロークができるのです。これが1つでもずれてしまうと、一定の振り子運動ができません。振り子運動ができないということは手打ちになり、いつも同じポイントで打てなくなるということです。基本的なことですが定期的に全身鏡などの前で構えてみて、まっすぐ1本の軸ができているかをチェックするとスコアは大きく変わりますよ」
■キム・ハヌルと共通する体に巻き付ける素振りは“振り遅れないため”
一方ショットを見てみると、振り遅れないための意識が大きいと話す。
「彼女が日本に来てから意識しているのがとにかく“ダウンスイングでクラブを立てる”ということ。バックスイングで(左)肩を入れてクラブを立たせながらトップに入り、ダウンスイングでギリギリまで体を開かずインサイドに下ろしてくる。そしてクラブを体に巻きつけるフィニッシュまで持って行きます。これは全て振り遅れないためです。ですが、彼女はここ数年手と足と腰がバラバラに動いていました。それが今はバランスよくできています。これがショットが復活した大きな理由でしょう。先週男子ツアーを優勝した小平智選手や 今期好調の谷原秀人選手もこれでもかってくらいにインサイドに振り抜いていますよね。また、彼女は懐近くにボールをセットしています。これもクラブが寝たり振り遅れたりしないことを避けるためです」
女子ツアーで言えばキム・ハヌル(韓国)も同じように回転打つタイプだ。「2人は打つ前の素振りのときに通常のフィニッシュの時よりもこれでもかというくらい体を大きくひねっています。そんなルーティンを見れば、いかに体の回転を意識しているかが分かります。セットアップの段階から最後まで回転し続けることを大事にしていますね。そして2人は、パター、ショット共にアドレスが素晴らしい。どちらも中心線があってショットはその軸を中心に体に巻き付ける、パターは振り子運動をする。再現性が高いのはしっかりとした軸があるからです」
日本ツアー通算24勝は具玉姫を抜いて韓国人最多優勝。これからも自信を持ったパターとバランスを取り戻したショットを武器に永久シードとなる30勝を目指していく。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、濱美咲らを指導。今季は上田の出場全試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
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