すぐにキレる人は、なぜすぐにキレるのか

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■仕事ができる人ほどすぐにキレられる

普段から偉そうな上司が些細なことでキレる。いつもは偉そうな素振りを見せず、いたって普通な様子の上司が突如怒りだす。最近では堪え性のない若者がなんでもないことでキレるというケースも増えています。なぜ彼らはキレるのでしょうか。

いつも偉そうで、すぐキレる上司の場合、心理学的に見ると、彼らが偉そうにしているのは常に心のどこかに不安を抱えているから。周りから凄いと思われたい承認欲求が強いけれど、実際には自らが望むような評価が得られていない。偉く見せることで自分の気持ちを保っているのです。これまでの成長プロセスのなかで身につけた姿勢ですから、彼らの生き方は今さら変えられません。

普段は温和なのに、いきなりキレる上司もいますね。彼らもまた、自分が評価されていないのではと、自信が持てていない。普段は不安を押し隠して平静に振る舞っているのですが、実は気持ちに余裕がないため、自分が否定されたり人から攻撃されたと感じたときに自己防衛が働く。心に溜まった不安が爆発し、キレてしまうというわけです。

どちらのタイプも、自分は部下から実力を疑われているのではないかという「見下され不安」を抱えています。部下としては馬鹿にしたつもりは毛頭なく、ちょっとした意見を言っただけのつもりが、上司が突如キレてしまう。心に余裕のない上司は「部下から見下された」と強く感じてしまうのです。

では、そんな上司とどう付き合えばいいのか。仕事の基本である「ほうれんそう」(報告・連絡・相談)は上司の心のケアという意味もあるのです。経験を重ね、実力も身についた人ほど、上司に甘えず、難しい仕事でも自分で判断してしまいがち。しかし、上司からすると自分が尊重されていないと感じる原因となります。細かに「ほうれんそう」をし、「私はあなたを信頼しています」と上司に示すことが大切です。

■褒めると子供はダメになる

社員に煩わされるケースも増えています。今の若い人たちは、褒めて育てられた世代。特に1990年代以降は、子供は褒められることで自己肯定感が高まると考えられてきました。しかし実際はそうはいかなかった。調査の結果、自己肯定感が低い若者が3倍になってしまったのです。現在の30代以下の人たちは、叱られる経験が少なく、心が鍛えられなかった。

彼らに対しては、頭ごなしに否定する言葉を使ったりしてはいけません。こう改善したらどうかとアドバイスをする。柔らかな態度を最初は示しつつ、徐々に心の距離を詰めていくようにするしかありません。

そんな若者の存在が、中高年の上司をますます苛立たせています。中高年の世代は自己実現は二の次に、年功序列の会社組織で我慢して働いてきたのに、社会全体が変化してきた。そんななか、若者が社会の変化を当然として思うままに振るまい、時には的外れに思う自己主張をしてくるのですからたまりません。俺たちの人生は何だったのかと鬱積する中高年と、打たれ弱い若者たち。現代は皆が「キレやすい社会」になっていると言えるでしょう。

(榎本博明 構成=伊藤達也)