21日、3月まで日銀審議委員を5年間務めた白井さゆり・慶応義塾大特別招聘教授が会見、日銀金融策について会見。マイナス金利導入で国債市場の歪みが進行していると問題提起した。また「2%の物価目標」の達成は困難と指摘。当面1%を目標とすべきだと提案した。

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2016年10月21日、今年3月まで日銀審議委員を5年間務めた白井さゆり・慶応義塾大特別招聘教授が日本記者クラブで会見、アベノミクスの根幹となる日本銀行金融政策についてマイナス金利導入で国債市場の歪みが進行していると問題提起した。また「2%の物価目標」の当面の達成は困難と指摘。当面「1%」を目標とすべきだと提案した。発言要旨は次の通り。

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今年1月に導入されたマイナス金利政策は副作用が大きい。新政策の導入で、国債の金利は一段と下がった。ただ、マイナスの金利で損をしてまで国債を買うのは、高値で日銀に売ろうとする投機筋だ。本来の取引参加者が少なくなり、国債の取引量も減ってしまった。このため、日銀はさらに高い値段で国債を買わないと、国債の保有残高を増やし続けることが難しくなった。

人々の心理に与えた悪影響は大きかった。銀行は預金金利をマイナスにしないと言っているが、預金者は、銀行の負担がいずれ手数料などで自分たちに返ってくると感じているのではないか。日銀の説明が不十分なのも一因だ。

インフレを起こす政策は物価が先に上がりやすいので、実質賃金が下がる。インフレを抑制する政策よりも難しく、国民の理解を得にくい。物価を2年間で2%上げるには、企業と家計に受け入れてもらう必要があるが難しい。

無理して物価を早く上げようとせず、早期の「2%実現」は難しいことを率直に認め、持続可能な枠組みに変えていく必要がある。2%の旗を掲げながら、まず「1%」を当面の目標にしてはどうか。

9月の金融政策の枠組み変更により、複雑さや不透明さが高まった。追加緩和は「てんこ盛り」だったが、このままでは国債市場や信用配分の歪みが進行してしまう。長短金利操作も難しくなるリスクがある。(八牧浩行)