軽の新ジャンルとして登場したムーブ・キャンバスのデザインインタビュー。後半はボディのリアからインテリア、ボディカラーの話を訊きました。

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[語る人]
ダイハツ工業株式会社
デザイン部デザイン室主任 畑 延広 氏
カラーマテリアルフィニッシングユニット 小池久弥代 氏

── 後編はボディの後ろから伺います。リアパネルは、横から見ると大きくカーブを描いています。一般的なバスのようにルーフを後ろまで引っ張ることもできたのでは?

「テーマであるラウンド感をしっかり持たせたかったのと、タントとの差別化もあります。実際、このボディでルーフを後ろまで引くと、リアに相当な違和感が出てしまうと思います」

 

── 横長のフロントに対し、リアランプはほぼ正方形です

「フューエルリッドの位置など機能的な制約もありますが、たとえば前後で横長にしてしまうとボディが短く見えてしまう。ちなみに、フロント同様リアランプもジュエリーがモチーフで、宝石のように見る角度によって表情が変わるよう工夫しています」

── ホイールについてお伺いします。今回は2色塗りのホイールキャップがウリですが、なぜアルミではなかったのですか?

「上級グレードにアルミを付けて特別感を出すより、ホイールキャップで様々な表現を作った方が今回は訴求力があるだろうと。キャップ中心の広い面は、大きなキャビンを支える意図と、同時に愛らしさも兼ねています」

── ホイールにボディカラーを入れるという発想はありませんでしたか?

「それも検討しましたが、実際にやってみると色があちこち散ってしまう。また、ストライプカラーではホイールとルーフの色を合わせると非常にしっくり来ることが分かったんですね。今回、ホワイトとグレーの2色にしたのはそのためなんです」

── 次にボディカラーです。今回のウリであるツートンのストライプカラーに具体的なモチーフはありますか?

「いえ。一口にツートンと言っても塗り分け方は様々なので、そこの検討をかなりやりました。その中で新ジャンル感があり、かつボディの長さを表現する手法として今回のパターンにたどり着きました」

── ホワイトのツートンは流行ですが、グレーは珍しいですね

「はい、実は新ジャンルとして男性をイメージしました。メインの母娘に対し、ここは母息子でも父娘でもいいと(笑)。この配色は社内の男性役員にもウケがよかったですね」

── 一方のモノトーンですが、ツートンとは異なるモノトーンならではの見せ方は考えたのですか?

「そこは何かを強調するのではなく、あえて素のよさを見せたかった。色も、陶器のようにハイライトが白っぽく抜ける、濁りのないモノを作りました。いまどきの2色性のあるギラギラした塗料でなく、より素直な色ですね」

── メイクアップシリースですが、元々こちらがオリジナルという発想だったのでしょうか?

「そこは難しいところですね(笑)。見せ所であるボディを一周するメッキが似合うデザイン、という発想は当初からありましたので。メイクアップとキャンバスは同時発想と言えるかもしれません」

── 室内に移ります。インテリアの造形コンセプトは?

「エクステリアに準じますが、ナチュラルさとして大きな面構成による居心地のよさを、アクティブさとしてメッキやカラーでのアクセントを出す。また、革ではなく布目のシボを使うことでもナチュラルさを表現しています」

── アクセントカラーの3色は何を意図したものですか?

「茶色はナチュラルと上質、ミントはこのクルマのキーカラーとしてアクティブさを、ピンクはやはり女性を意識しました。実は、ピンクはパンプキンイエローと最後まで迷ったのですが、まずは順当にピンクかなと(笑)」

── シートは3色とも単色で落ち着いたものですね

「インパネやドア内張りのアイボリーと協調する色としました。キャンバスはシート自体が主張をするようなクルマではありませんので、穏やかでシックなイメージにしています。ブラック内装は、男性を意識したグレーツートンのボディに用意しました」

── 最後に。キャンバスはボディに目立ったラインもなく非常にシンプルですが、デザインの耐久性を意識したものなのでしょうか?

「はい。より長く愛着を持っていただけるよう飽きの来ない造形を意識しています。シンプルなボディですが、基本骨格、面の張り剛性をしっかり確保していますので、長い時間に耐え得るデザインと言えるでしょう」

── なるほど。本日はありがとうございました。

(すぎもとたかよし)

キャンバスのデザインは「陶器の輝き」─ ダイハツ・デザインの新ジャンルをインタビュー(後編)(http://clicccar.com/2016/10/24/403302/)