「抜け毛」が増えるシーズンに freeangle/PIXTA(ピクスタ)

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 秋は一年のうちでも「抜け毛」が最も多いシーズンだ。近ごろ薄毛が気になってきた人には、洗髪やヘアセットで鏡を見る時間が憂鬱なことだろう。

 2013年にかつらメーカーが行った調査によると、「脱毛が進行している」と感じる人は日本国内で推定約4200万人。日本人の成人の人口は約9800万人だから、2人に1人は薄くなっていく毛に悩んでいるようだ。

 薄毛の原因としては、食生活やホルモンバランス、間違ったヘアケア、喫煙、紫外線、冷えなど、さまざまなことが考えられる。

 現代社会では、特にストレスの影響が大きいと考えられている。ところが実は、<ストレスと薄毛>の因果関係や詳しいメカニズムは明らかにされていなかった。

 しかし先月、ストレスが毛髪や頭皮に悪影響を与えることを裏付ける研究データが発表されて注目を集めている。

薄毛の人は血液や唾液に「ストレス物質」

 発表したのは、化粧品メーカーの株式会社マンダム。医療法人社団Xanaduあやこいとうクリニック院長・伊藤史子医師との共同研究による「日本人男性の頭皮状態とストレスの関係についての研究報告」だ。

 同社はこれまで、30代〜40代の薄毛傾向にある男性は同年代の男性と比べると頭皮が硬いことを明らかにし、硬い頭皮をやわらかくするための成分を開発してきた。

 今回の研究は、30代〜40代の男性24人を対象に行われた。まず、ストレスに反応して分泌されるストレスホルモンの一種「コルチゾール」と毛髪の関係を調べた。すると、唾液中のコルチゾール濃度が高い人ほど、後頭部の毛の直径が細いことが分かった。
「薄毛は恥」が、さらにハゲを加速?

 ただし、唾液中コルチゾール濃度はストレスの有無(強度)を調べる手法として一般的ではあるものの、一日のうちや日による変動も大きい。安定した測定が難しいという課題があった。

 そこで、過去の研究からストレスの指標になることが判明している「血清尿酸値」を使って、再び毛髪との関係を調べた。

 その結果、血清尿酸値が高い人ほど後頭部の毛髪における毛穴あたりの毛髪の本数が少なかった。また、血清尿酸値が高い群では、頭皮が硬いことも明らかになった。

 この結果は、今年の日本美容外科学会と国際化粧品技術者会(IFSCC)オーランド大会で発表されるという。

 明らかになったのは、「ストレス指標の高い人ほど頭皮が硬く、後頭部の毛が細くて少ない傾向がある」こと。やはり薄毛を防ぐにはストレスを貯め込まず、適度に発散し、マッサージなどで頭皮を軟らかく保つことが大切だ。

 ここで気になるのは、「薄毛の悩み」そのものが本人にとって強いストレスになっていないかということだ。世界的に見ても、日本人男性はハゲを「恥」と感じ、周りの誰にも相談できずに悩み、ひたすら隠そうとする傾向が強い。

 女性の目もある。エイジングケア商品を展開するアンファー株式会社のアンケートによると、「妻がついチェックしてしまう夫のパーツ」は「髪・ヘアスタイル」が57.0%でダントツの1位。

 また夫に対して「薄毛予防・薄毛対策を考えてほしい」と答えた妻は26.6%となり、4人に1人の割合だった。

 半面、女性は男性が思うほど薄毛を気にしていないというデータもある。女性500人(10〜50代)を対象としたある調査では、7割もの人が「ハゲの男性も恋愛対象になる」と回答している。

 近年では、海外セレブのみならず、日本でも薄毛を個性とする有名人も増えた。また、スティーブ・ジョブスや孫正義など、自信に溢れた成功者のスタイルは、「薄毛でも格好いい」という風潮だ。日本男性の価値観も少しずつ変わってきている。

 「薄毛を気にしない」と開き直ってポジティブに生きることこそが、ストレスを遠ざけ、何より有効な薄毛対策になるのかもしれない。
(文=編集部)