先ごろ、日銀による金融政策の変更が発表されました。しかし、プロの投資家たちは、この金融政策とは真逆の投資行動をとり始めたのです。その原因のひとつにドイツ銀行ショックが挙げられます。今、世界の金融マーケットでは、いったい何が起こっているのでしょうか?

今月の知りたがりテーマ ドイツ銀行ショックの影響は?

先の日銀による金融政策決定会合では、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という政策が発表されました。この政策には、マイナス金利状態の国債を購入しないことに加え、日本の10 年国債利回りを0%近辺に誘導することを目標としています。

この政策によって、プロの債券投資家は日銀の動きを見越して保有国債を売却し、利回り上昇に備えることが予想されます。ちなみに、債券は売却されると国債価格が下落し、利回りが上昇します。

しかし、実際の国内債券市場は真逆の動きになっています。利回りが低下し、債券投資家が積極的に日本国債を購入する動きを見せているのです。日銀が「マイナス金利国債は買わない」とアナウンスしているにもかかわらずです。

実は、この動きの裏側で国内株式市場では商いが低迷し、株価の下落が地味に続いています。つまり、「株売り・債券買い」といったリスク回避の動きが出ているのです。このような動きは、世界の先進国マーケットでも見られます。なぜでしょうか?

理由のひとつに、ドイツの金融機関最大手であるドイツ銀行へのリスクが高まり、投資家のリスク回避姿勢が強まっているようです。IMF(国際通貨基金)は、7月にドイツ銀行単体の経営危機だけでなく、同社が世界の金融ネットワークと結びつきが強いことから異例の警告を発表。さらにここに来て、米国で金融商品の不正販売の疑いをかけられたドイツ銀行が、巨額の和解金を支払う可能性が出てきたことで経営危機の懸念が台頭しました。もちろん、すでに資本不足に陥らないために事業売却を発表しています。

しかし、何が起こるかわからないのがマーケット。IMFの資料を見ると、ドイツ銀行と国内メガバンクの関係性は、そのほかの欧米大手金融機関と同等レベルとのこと。ギリ シャ危機のように狢亟澆硫仍〞との楽観視は禁物です。

Masumi Sai
崔 真淑
Good News and Companies代表

神戸大学経済学部卒業後、大和証 券SMBC金融証券研究所(現・大和 証券)に株式アナリストとして入社。 入社1年未満で、当時最年少女性 アナリストとしてNHKなど主要メ ディアで株式解説者に抜擢される。 債券トレーダーを経験後、2012年 に独立。現在は、日経CNBC経済 解説部のコメンテーターとしても活 躍している。