2018年平昌五輪プレシーズンとなる今季のグランプリ(GP)シリーズ第1戦、スケートアメリカが米国シカゴで行なわれ、女子では3人が出場した日本人の中で一番若い17歳の三原舞依が、シニアGPデビュー戦でいきなり表彰台に上がる3位に入った。

「緊張はなかった」というショートプログラム(SP)で2位と健闘。フリーではプログラム後半にジャンプミスが重なってしまったものの、自己ベストの123.53点を出して3位になり、合計でも自己最高得点を更新する189.28点を出して日本勢トップの銅メダルを獲得した。
 
 一方、26歳の浅田真央は、SPで64.47点の5位と出遅れ、フリーでもプログラム後半のジャンプで失敗が続いて112.31点の6位にとどまり、合計176.78点の総合6位に終わった。またSP10位、フリー9位の村上佳菜子は合計145.44点で総合10位。これはGP大会出場13回目にして初の2桁となるワースト順位だ。

 17歳のホープ三原は、シニアGPデビュー戦でも舞い上がることなく、自分をしっかりとコントロールして戦った。憧れの浅田真央と同じ大会に出場して戦えることに、大会前から「すごいわくわくした気持ちでいっぱいです」と話していた通り、のびのびとした演技でいまの実力を発揮してみせた。

 SP『ロンド・カプリチオーソ』では、冒頭の3回転ルッツ+3回転トーループを非の打ちどころがないほど完璧に跳び、スピードとキレのある演技で観客を魅了した。最後の3回転フリップでは着氷が乱れるミスが出て、演技後に苦笑いを浮かべたが、自己ベストの65.75点がコールされた瞬間、口に手を当てて目を見開き、驚きのポーズをした姿が愛らしい。

「自分が思っていたよりもいい得点をいただいてすごく嬉しい。本当に『うそーっ』という感じで信じられなかったです。演技前はすごく緊張していたんですけど、(名前のコール)直前にウォーレンというジャンプでこけてしまったので、それで少し緊張がとけたかと思います。フリップのランディングが乱れてしまってすごく悔しいなと思ったんですけど、この大きな舞台で滑らせてもらって、終わったときは笑顔になりました」

 三原にも、最近のアスリートがよくやるルーティーンがある。緊張をほぐす効果を狙ったもので、両手で両耳と両頬をつねる(引っ張る)。中野園子コーチのアドバイスで始めたというが、効果は絶大なようだ。どんな大きな舞台でも演技中はほとんど緊張しないといい、シニアGPデビュー戦でもその効果が垣間見られた。

 フリーでも緊張はみじんも感じさせず、序盤から勢いがあった。しかし、プログラム中盤に予定していた2回転アクセル+3回転トーループで、2つ目のトーループが2回転になった後、スピードががくっと落ちてジャンプのミスを重ねてしまう。

「失うものは何もないという気持ちで臨んだんですけど、練習でできていたことを試合本番で出せなかったのは、気持ちのコントロールがまだまだ不足していると感じました。いつもノーミスの演技をすることが目標だったのに、失敗して悔しい」

 そう反省を口にして、「いまの自分にはトップ選手が持っているメンタルの強さがないということも痛感した」とも語った。

 それでもフリーで123.53点の自己ベストを出し、合計189.28点の自己最高得点をマーク。初のシニアGP大会で総合3位に食い込んだのは自信につながる結果だった。

 三原は昨年12月のジュニアGPファイナル出場の頃から体調に異変があり、診断の結果は「若年性突発性関節炎」。関節が痛む難病で、ファイナルから帰国すると入院を余儀なくされ、歩くこともできずに車いすで移動していたほどだ。約4カ月間、氷から離れざるを得ず、治療とリハビリをしながら、今季、再びリンクに戻ってきた。現在も月1回、病院で注射を打つなど、病気と闘いながらの競技生活を続けている。そんな困難さを表に出さない強さが彼女にあるのは、「フィギュアスケートが楽しくて大好きなスポーツ」だからだろう。

 また、彼女にとって、この競技をやり始めるきっかけを作ってくれた憧れの浅田の演技を見ることは大きな喜びであり、競技者として同じ舞台に立てるチャンスを、今回、初めて実現できた。中野コーチがこんなエピソードを教えてくれた。

「浅田選手と一緒に滑った朝の練習では、自分の練習そっちのけでずっと(浅田を)見ていました。そして、マッサージを受けるときに部屋で一緒になってテンションが上がったようで、写真まで一緒に撮ってもらって、本人は『最高に幸せ』と言っていました」

 今後が楽しみな三原にとって、浅田真央はパワーの源とも呼べる存在だったのだ。

辛仁夏●文 text by Synn Yinha