親に断食を強要されたインドの少女、死亡(出典:http://www.hindustantimes.com)

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天変地異から縁談、出産、事業の低迷まで何か困ったことがあるたびに宗教の精神的指導者や占い師の元に駆け込み、言われた通りにすることが多いインドの人々。その犠牲になるのはほとんどが子供、特に娘である。このほど厳しい禁欲主義で知られるインドのジャイナ教徒の家庭で…。

インド・ハイデラバード近郊のセカンデラーバードという町で、宝石店の商売が低迷して困り果てていたラクシミチャンドとマニーシャのサムダリア夫妻。ジャイナ教(=ジナ教)の精神的指導者である長老にそのことを相談したところ、彼は“Tapasya”という苦行を提案し、娘に断食をさせれば商売運が上昇するだろうと答えたという。

これにより夫妻はひとりっ子である13歳のアラドハナちゃんに断食を強要。毎晩1回だけ水を飲むことを許可した。以前には34日間の断食も成功させていたアラドハナちゃんであったが、このたびは68日の断食をなんとか完了したものの、体調に異変をきたして今月3日に死亡したと『hindustantimes.com』が伝えている。

娘に過酷な断食を強要した父母に対する起訴内容が過失致死容疑であることに、子どものための人権擁護団体「Andhra Pradesh Child Rights Association」の活動家らは「これは過失ではなく殺人行為」と厳しく批判している。その一方でジャイナ教の指導者マンギラル・バンダリ氏は、アナハンドラちゃんは断食中にも41日は学校に通い、体調異変が起きたのは断食の完了から24時間以上過ぎてからであったことなどを理由に、「私たちの宗教上の儀式や修行を批判、干渉する権利は誰にもない」と強気の態度を崩していない。

数千年前にインドで誕生し、菜食主義ほか徹底した苦行・禁欲主義が特徴であるジャイナ教。ラジャスタン州では数か月前、82歳の女性が“Santhara”と呼ばれるジャイナ教の儀式にのっとった断食を強要され、50日目に死亡したことが報じられていた。“68”という数字はジャイナ教徒にとって、自己純度を高める目的で独自のマントラを唱える回数であるため大きな意味を持つ。教徒の数はインド全体で500万人未満だが、ディガンバラ派の僧侶は「空がわれわれの衣」と言って裸を貫いているという。

出典:http://www.hindustantimes.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)