北朝鮮との決勝ではPK戦で敗退。しかし、内容では圧倒していた。(C)Getty Images

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 ヨルダンで行なわれたU-17女子ワールドカップでは準優勝に終わったリトルなでしこだが、2度目の優勝を飾った北朝鮮と並んで、この年代ではチャンピオンクラスの成績を残している。
 
 日本は、これまで5回開催されたU-17女子ワールドカップのすべてに出場し、今大会を含めて優勝1回、準優勝2回。しかも、優勝できなかった4大会中3回はPK負け(08年:準々決勝、10年:決勝、今回)。レギュラータイムの成績に限れば、21勝3分2敗(3分は全てPK負け)。90分間のゲームで敗れたのは、10年の初戦・スペイン戦と、67パーセントのボール支配率を残しながら0-1でガーナに屈した12年大会の準々決勝だけ。3回のPK負けを含めても勝率は8割を超える。
 
 大会MVPもこれまで岩渕真奈(08年大会)、杉田妃和(14年大会)が受賞し、今大会の長野風花で3人目になる。MVPがチームを代表してもらうタイトルなら、世界は三度にわたり「ベストチームは日本」と認めたことになる。
 
 帰国後の囲み取材で、日本が好成績を残している理由を問われた楠瀬直木監督は「2年前に女子サッカーの世界に入ったばかりなので、昔のことを知っているわけではありませんが」と前置きしたうえで「年代別代表の強化に手を付けるのが早かったというのがひとつの理由かもしれません」と答えた。
 
 確かに初期の大会では、日本人選手の技術の高さと献身性が光っていた。10年のトリニダード・トバゴ大会に出場した、浦和のゲームメーカー・猶本光の言葉も、それを裏付ける。初戦にこそ敗れたものの、大会に馴染んでからは「日本の選手が技術では一番上。私自身は『ああ、技術で何とかなるんだ』としか思えなかった」。
 
 今季のなでしこリーグ得点王に輝いた日テレ・ベレーザの田中美南も、同大会に参加していた。猶本と似たような感覚があったという。「3人目の動きなんてなかったし、とりあえずロングシュートでも打っておけば入っちゃうようなイメージがあった」。そして「今回のU-17のハイライトなどを見ると、自分たちの頃よりも遥かにレベルが上がっていて驚いた」。
 
 今大会では「勝ち上がるために必要な最低限の組織」を用意する国が増えてきた。「アメリカ戦にもやっと勝てたという感じですし、準決勝のスペイン戦は先制点をとられていたら、たぶん負けていた」(楠瀬監督)。世界もこの年代からの強化に力を入れ始めている。
 そうした現状を考えると、ここから先はラクではない。これまでもU-17年代で築き上げた日本の優位はU-20、そしてフル代表と、カテゴリーが上がるにつれて失われてきた。若い年代から完成度が高い日本に対して、欧米の選手は伸びしろが大きく、その成長速度に脅かされる。
 
「U-17までは、相手が個人でやってくる部分があるので、簡単に外せたりするんですけれど、U-20になるとドイツのようにしっかりと組織を作ってくるチームもある。その中でパワーも、スピードも、間合いも違う相手に対応しなければいけない。そこが難しいなと思います」(猶本)
 
 猶本がそれを実感したのは、日本で行なわれた2012年U-20女子ワールドカップ準決勝のドイツ戦。中盤でゲームを作っていた猶本は、相手がチーム全体で自分へのパスコースを意図的に切っていることに気付いた。
 
 そこで、後半はそのやり方を逆手に取り、これまでの試合と違うポジショニングをとり、相手に混乱を生み出した。自分よりもパワー、スピード、リーチで上回る対戦相手が、自分たちを倒すための策を用意し、細かい部分での駆け引きが出てくる。
 
「U-17までなら、なでしこリーグのほうが、遥かにレベルが高いと思います。ただ、U-20の準決勝、決勝に出てくるチームになると、なでしこリーグとはまた違った難しさがあります。なでしこリーグで通用するものが、そこで通用するかは一概に言えません」(猶本)