提供:週刊実話

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 お仕事お疲れ様です。この連載では久しぶりに、今回は邦画をご紹介します。落ち目のキャスターにさまざまな災難が降りかかるコメディー映画『グッドモーニングショー』。
 かつては報道番組でバリバリやってたキャスターだったけど、世の中の非難を浴びてしまい、今は朝のワイドショーのメーンキャスターになった主演の中井貴一さんが、ちょっぴり間抜けなキャスターを見事に演じています。
 作品の舞台はもちろんテレビ局だけど、これは皆さんの職場や家庭にも置き換えて共感できるかもしれません。番組の視聴率の低下は、例えば、売り上げの低下とスライドできる。息子さんとなかなか通じ合えないなどうなずけるポイントが満載です。

 ある朝、いつものように深夜に起きてテレビ局へ向かう澄田真吾キャスター(中井貴一)の身に、突如降りかかる災難の数々。交際を発表しようと言い出す女子アナウンサー、番組の打ち切り、極めつけは事件現場の立てこもり犯に「澄田を呼べ」と要求される始末。カメラとマイクを仕込んで現場に向かう澄田の様子は生放送されることに!

 今回絶妙なスパイスになっているのは、澄田キャスターに気がある女子アナウンサー、小川圭子。長澤まさみさんが演じるこの女性はもう遠慮なく大胆そのもの(笑)。“身に覚えが…!?”なんてあんまり大きい声では言えないけど、行き過ぎた行動に走らなければ、“奥さん以外の女性にモテる”っていうのも男には大事なことですよね。

 このキャスターの珍道中の奥には、別の深いメッセージがあります。事件現場のいろんなやりとりから伝わってくる、“仕事”という生きるために必要なこと。“好きだから”こそ必要なもの。その他、仕事に対しての姿勢だったり、私はテレビ業界の人間だから、いろいろなことを考えさせられました。

 ちょっと思ったのは、“やっぱり強い女性が側にいると男性は助かるのかな?”ということ。日本では女性が子どもの面倒を見たり、家事をしたりするのが自然と決まっている文化みたいなものがありますが、1回立ち止まって、家族と一緒の時間を考えるきっかけになるかもしれません。テレビ業界の裏側をちょっと覗いた感覚にもなれる、とても分かりやすくて楽しめる1本です。

画像提供元:(C)2016フジテレビジョン 東宝

■『グッドモーニングショー』
監督・脚本/君塚良一 音楽/村松崇継 出演/中井貴一、長澤まさみ、志田未来、池内博之、林遣都、梶原善、木南晴夏、大東駿介、濱田岳、吉田羊、松重豊、時任三郎他 全国東宝系にて公開中。
 『踊る大捜査線』シリーズの脚本で知られる君塚良一がメガホンを取った、朝の情報番組であるワイドショーを舞台に展開されるコメディームービー。放送直前に、都内のカフェに爆弾と銃を持った男が人質を取って立てこもる事件が発生。犯人の要求はなんと「キャスターの澄田(中井貴一)を呼べ!」。プロデューサーの石山(時任三郎)は澄田を現場に送り込み、さらに犯人との交渉を生中継するという前代未聞の決断を下すが…。

LiLiCo:映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS「大様のブランチ」「水曜プレミア」、CX「ノンストップ」などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。