イタリアンツナマヨ

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「まさか原宿おにぎり屋ができるなんて。こんな時代が来るとは思いませんでした」

【写真をもっと見る】これが原宿のおにぎり!まるでプチケーキみたいな可愛さです

原宿で86年続く小池精米店の三代目、小池理雄さんは嬉しそうに話してくれた。

去る9月30日、ラフォーレ原宿の2階におにぎり屋がオープンした。炊きたてのご飯で作ったおにぎりを販売する「onigiri stand Gyu!」である。

塩にぎり、鮭、梅、タラコにおかかなど、おにぎりの定番(1個150円〜300円)はもちろん、カラフルなひと口サイズのおにぎりも並んでいた。おにぎりプチ(1個300〜350円)だ。

「ふつうのおにぎりは鮭や明太子、玄米を使ったタイプが人気ですが、おにぎりプチはエビパクチーやスモークサーモン、ローストビーフをご注文いただく方が多いです」と秋山実店長は教えてくれた。

スモークサーモンにローストビーフ。このふたつはどんな味かおおよそ予想できる。けれど、エビパクチーや、メニューにある海苔マスカルポーネはまったく想像できない。

まずは定番の「鮭」、「タラコ」に加え、玄米の「えごま入り高菜」を頼んだ。

鮭はフレークではなく、切り身を使っているので、食感も心地よく、鮭の旨味をしっかりと感じることができる。

タラコは石巻産の無着色。タラコは水揚げ直後に発色剤を使うものが多く、無着色のものは入手しにくい。そういう意味で、貴重な食材を使ったおにぎりを食べさせてくれると言ってもいいだろう。

昨今、玄米を愛用する女性も多いことから、玄米のおにぎりも提供している。お腹にやさしい玄米おにぎりは、女性に人気が高いようだ。

気になるおにぎりプチも食べてみた。どんな味なのか想像できない「エビパクチー」、「海苔マスカルポーネ」の他、「イタリアンツナマヨ」もオーダーする。

ミニおにぎりの上にやや大ぶりのエビがドーンと乗ったのが、エビパクチー。

イタリアンツナマヨは、ミニおにぎりを薄く切ったキュウリで巻き、その上にツナマヨ、トビコ、黒オリーブが添えてある。見た目も味わいも洋風。

圧巻は海苔マスカルポーネであった。秋山店長によれば、海苔の佃煮とマスカルポーネを和えたものを使っているという。不思議と癖になる味で、自宅でも真似したくなるおにぎりである。

この店の真骨頂は、おにぎりプチだけではない。スイーツおにぎり(1個300円)もメニューに掲げている。

スイーツおにぎりとはなにか。

その実態を探るため、「抹茶」と「スイーツキンカン」を食べてみた。

抹茶は、抹茶をまぶしたミニおにぎりの上に、クリームチーズ、ハチミツ、練りごまを和えたものをのせ、小豆の一種の大納言とクルミをあしらってある。

抹茶には砂糖を加えていないため、ほろ苦い。舌が抹茶のほろ苦さを感じていると、甘さが襲ってくる。苦さと甘みが混然となるこの味わいは初体験。

一方、甘酸っぱいガリ、甘く煮たキンカンの上に味噌を添えたのがスイーツキンカンだ。こんなのアリ?と首を傾げたくなったが、おいしいならいいじゃないかと納得の味であった。

原宿おにぎりは、外国人にも人気!

そもそもファストフード店が林立する原宿に、なぜおにぎりなのか。秋山店長に尋ねた。

「この店は、おにぎりを使った実験や遊びを提案してきたTokyo Onigiri Labo(以下、ラボ)が、始めました。和食の素晴らしさを体験してほしいと思い、ファッションの発信地・原宿に出店することにしたんです」

原宿は若い女性に人気の街というイメージが強いが、アッパーや外国人などの住民も多いという。老若男女、国籍を問わず、和食に親しんでほしいことから、ファッショナブルな原宿を選んだ。実際、この日は赤ちゃんを連れた外国人夫婦がおにぎりを食べていた。

おにぎりは人と人をつなぐアイテム。テイクアウトもできますが、おにぎりプチを手土産にし、コミュニケーションツールとして使ってほしいと思っています」

お土産用にプチおにぎりをケーキの箱に入れてくれるサービスもある。

ところで。

おにぎりの味は米で左右される。この店では先の小池精米店の三代目で、五ツ星お米マイスターでもある小池さんがラボの担当者と相談し、月ごとに産地と銘柄の異なる米を厳選している。オープン時は宮城産ササニシキを選んだ。

「ササニシキにしたのは、口の中でほっくりとくずれ、なおかつ具材を受け止められる粒感があるからです。10月中旬からは千葉の多古産コシヒカリの新米を使います」

サラリーマンだった小池さんが家業を継いだのは9年前、35歳の頃。当時、精米店の仕事には危機感しか抱いていなかった、と小池さんは告白する。

「地元原宿おにぎり屋ができるなんて誰ひとり考えもしなかったと思います」

米を食べる人が減りつつある昨今、原宿おにぎり屋が誕生し、自分もその新しい業態に携わることができたことを喜んでいるのだ。

小池さんが選んだ米の中には、小池精米店で扱っているものもある。この店で食べた米が気に入ったら、小池さんに頼もう。すぐに送ってくれるはずだ。

実は、ラボでは壮大な夢を抱いている。東京オリンピックでおにぎりをほお張りながら歩く外国人を見てみたい。そう願っているという。

ハンバーガーではなく、おにぎりを持った外国人が東京の街を歩く。onigiri stand Gyu!が原宿に誕生したことで、その夢が叶う可能性が俄然高くなってきた。

onigiri stand Gyu!

東京都渋谷区神宮前1-11-6ラフォーレ原宿2F フードエリア「GOOD MEAL MARKET」内
営業時間:11時〜21時
定休日:ラフォーレ原宿に準じる
電話番号:03-6447-0067 (店舗直通)

小池精米店
渋谷区神宮前6-14-17こくや 1F
電話番号:03-3400-6723